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第25話

 リュディアとフレイ、オズの話は、無事に終わりフレイとオズは帰路についた。

 

 オズとフレイが従軍する間リューイをどうするか、という話し合いがアルタナも含め開かれた。開かれたが結局のところリューイは、オズ達についていくことになった。ここのところオズにかまってもらえなかった事と、長期間オズと離れる事を嫌がった為であった。


 余談だが、この時の話し合いでアルタナは心に傷を負うほどだった。主にリューイの言葉によって……。


 そんなこんなでいろいろな(二人の王女が付いて行くと言ったり、某学院の長が誘拐未遂を起こしたり……)騒動が起きたりしたが、無事に出征の準備は整えられた。


そして出征する当日オズとリューイ、フレイはヴェルダンディ邸を出て、用意された馬車に乗り王城へと向かった。


 王城についたオズとリューイ、フレイは控室に通された。オズとリューイは、顔を見られたくないのか揃いの黒のロングコートを着て、フードを目深に被っていた。案の定というよりフレイがいるので大きな問題にはなっていなかった。しかし、案内係やすれ違う人たちは、オズとリューイの服装を見て眉をひそめたりするのであった。


 しばらく3人は応接室で寛いでいたが、部屋の外が慌ただしくなっても寛いでいた。


 そしてしばらくして、女王であるリュディアが部屋にやってきた。


「これは女王陛下、どうしたのですか?」


「……なんで驚かないのよ」


「いえ、女王陛下がいらっしゃるのは気配でわかっていましたし……」


 女王が部屋に来てからオズとフレイは立ち上げり跪き、やってきた理由を問われた。そのことにリュディアは驚いていた。


 オズとフレイは、外が慌ただしくなりはじめた時に近づいてくる気配を捉えて、誰が来たかを理解していた。リューイは敵意や害意に関しては並外れた察知能力を持つが故に慌てていなかった。リュディアが入室しオズとフレイが跪いていた時、リューイは椅子に座ったまま紅茶を楽しみお茶菓子をつまんでいた。これを見てはいないが跪いた様子がないリューイに対して、フレイは礼儀作法の勉強時間を延ばすことを決めた。


 女王が楽にして良いと言い、オズとフレイが立ちあがったのを見て、女王は護衛の騎士たちを部屋から下がらせた。そしてリュディアが椅子に座ったのを確認してからオズとフレイも座る。この時リューイは何かを察してオズの膝の上に移動した。


「……リューイも連れていくことにしたのね」


 何を言おうか迷ったリュディアが、リューイのことを聞いてきた。


「えぇ、ここのところ構ってあげられなかったので……」


「大変だったのね……」


 オズがリューイを説得する話をしたらリュディアには同情された。しばらく、とりとめのない雑談をしていたがリュディアが覚悟を決めたように切り出した。


「本当はもう少しお話をしていたかったけど、そろそろ時間になるわね。今さら私が何を言っても意味はないのかもしれないけれど、これだけは伝えておきます。生きて帰ってきて」


「わかりました」


「当たり前でしょう?」


オズとフレイがリュディアにそう返した。リューイはオズに背中を預けて眠っていたが……。


「それでは、お願いします」


「できる限り被害が出ないように尽くします」


 リュディアが立ちあがり部屋を後にした。


「それじゃあ、私たちも行くか」


 そういうとフレイは立ち上がり、身体を伸ばしていた。


「えーっと、確か一般の兵士達と行くんだっけ?」


 未だ寝ているリューイの頭を撫でながらオズが聞いてきた。そんなオズの言葉にフレイは、怯んだ。


「説明していなかったか? これから、エニス、リース、リオンと合流して国境沿いの砦に飛ぶぞ?」


「……多分だけど、説明してないから。これから全員で飛ぶのか。そうすると王子は一兵士とともに行くのかな?」


 フレイの説明にオズは嫌そうな顔をして、王子の行動も確認した。


「そうなるな。国内の移動だからいきなり最前線の私たちに比べれば危なくはない。それと、忘れていそうだが学院も戦時下になるから休校になるからな?」


「そうなんだ。……学院は元々の長期休暇が減りそうで嫌だな」


「まったくお前は……」


 オズの言葉にフレイは頭を抱えたくなる気分だった。






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