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第24話

 エニス、リース、リオンが円卓の間から出て、リュディアから用があると言われた、フレイ、オズが残る。


「あぁ、オズに出していた依頼だけど従軍している時は、学院も休みにするから。娘達も王宮に閉じ込めておくから問題はないわ」


 リュディアのこの言葉にオズはホッとしたような表情をした。


「学院も休みになるのは、楽でいいですね」


「そんなに護衛は大変?」


「いえ、ボクが従軍中はアルタナにいろいろ面倒ごとを頼む予定でしたので、休みになるのは助かります」


 オズが分かりやすく話題をそらし、リュディアも詳しく聞かないでそれに乗ることにした。


「アルタナも大変そうね」


 リュディアは自分の娘が粗相をしていないか気になるようだったが、オズは気にしていないようだった。今オズとしてはアルタナに面倒ごとを頼む方に比重が傾いていた。それを感じ取ったリュディアがアルタナに同情していた。


「あ、伝え忘れていたけど今回の戦争の総司令はエドワードに任せることにするわ」


「え゛、エドですか?」


「ええ、本当は私が行きたかったのだけど……政務が滞ると問題でしょ? エドワードに政務を任せるにはまだ経験が足りないわ。それにあなた達若手の宮廷魔術師を出すのだから王族も指揮させなくちゃいけないでしょ? そうなるとエドワードくらいしかいないのよ」


「そうね。確かにお姫様たちにはきついと思うわ」


 リュディアが今回の戦争で指揮を執るのが、エドワードだと言う。そのことにオズは吃驚したような声を上げた。そして、リュディアはエドワードに指揮を執らせる理由を説明し、フレイも同意を示した。

「あぁ、アルタナに頼むのが無理そうなら連れて行っても構わないわよ?」


 リュディアが突然思い出したかのように主語を抜いて話し出した。


「……さすがにそれは無理があるのでは?」


 オズが、言外に他の人が何かを言うのではないかと心配しているようだった。心配している対象はリュディアではないが…。


「あぁ~、その手があったな。確かにそれなら問題はなさそうだな」


 少しの間考えていたフレイがリュディアの言いたいことが分かったというような声を上げた。


 ただ、オズだけが理解できないというような表情をしていた。


「ほら、お前も宮廷魔術師に認定される前によく私の任務について来ていただろ? あの制度だ。」


「あぁ、宮廷魔術師の上位に位置する人が、将来有望で未来の宮廷魔術師候補を連れていくやつだっけ?」


「優秀な宮廷魔術師が、自分のお眼鏡に適った子どもを育てる。簡単に言うと弟子を取るようなものだ」


「最悪その制度を利用すればいいかな?」


 フレイに説明されてオズはようやく思い出したようだった。これでリューイに泣きつかれても大丈夫だなと考えていた。


「それじゃあ、フレイの弟子という事にしておくわね」


 リュディアがリューイをフレイの弟子で従軍出来るようにすると伝えた。


「いや、オズの弟子という事にしておいてくれ」


「っえ、何で?」


 フレイが突然そんなことを言った。そして、オズが吃驚したような声をあげた。


「オズも一人前になったし、色々なことを経験するべきだと私は考えた。勿論フォローはするから安心しろ?」


 フレイは少し恥ずかしそうに言ったが、オズとリュディアは真面目に話を聞いていた。しかし、突然オズが何かを思い出したかのように言う。


「そういえばリューイって宮廷魔術師じゃなかったっけ?」


「あぁ。オズは知らなかったのね」


 リュディアは何か気が付いたようだった。フレイは特に気にせず出されていた紅茶をすすっていた。その間オズは、どこか納得がいっていないような表情をしていた。


「うーん。なんて言うか、宮廷魔術師だけど宮廷魔術師じゃないみたいな感じになるのかな?」


「リュディア。それだけではオズもわからないだろう。オルテシア王国の宮廷魔術師とは当代の王が認定することによって宮廷魔術師と呼ばれる。リューイは当代の王であるリュディアの前で力を示しただけだ。しかし、リュディアもその実力を高く買っているのもまた事実。リューイも15歳を過ぎれば認定されるでしょう」


 フレイがリュディアの極端すぎる説明にダメ出しをするかのように詳しく説明をした。


「簡単に言うと、リューイは宮廷魔術師ではないが、将来は宮廷魔術師に認定されると。立場的には宮廷魔術師に準じる、みたいなものか」


「簡単に言えばそうだ」


 フレイの説明をオズは噛み砕いて自分なりの言葉で確認をしてみた。その説明にフレイは満足していたようだった。







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