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第23話

 会議が終わっても、リュディアと5人の宮廷魔術師たちだけが円卓の間に残っていた。


「リース、リオン。あなた達はこれが初陣になるのですから、緊張しないで普段通りに行動してくださいね」


「「はい」」


「エニス。あなたは、はしゃぎ過ぎないようにね」


「わかった、わかった」


「はぁ、フレイ、オズ。3人を頼むわよ」


「御意」


「うん」


 リュディアからするとフレイを除く4人は自分の息子と似たような年齢になる。本心としては、従軍させたくはなかった。しかし、本心を隠して3人に激励の言葉をかけ、フレイとオズに面倒を見るように伝えた。


 フレイは長い間、オズはある程度の期間リュディアと公私にわたり付き合ってきた。そのため、リュディアの性格を知っていた。争い事を好まない性格を。しかしそうもいっていられないのが女王としての役目だった。私情を殺し、国益の為に息子と似たような年齢の子らを戦争へと送り出す。選択を間違えたのではないのか、今でも悩んでいることだ。その苦悩をなるべく人に悟らせないように努めていた。努めていたが、公私の付き合いが長いフレイとオズにはばれていた。


「まぁ、ボクとフレイがサポートにつくから滅多なことにはならないよ」


「そうだな」


 オズの一言にフレイが同意を示していた。言われた3人は憮然としていたが……。


 3人は不機嫌さが滲む表情でオズに文句を言おうと口を開きかけた。


「そうね。フレイとオズがサポートにつくなら安心できそうね」


 リースとリオン、エニスが文句を言うよりも先にリュディアが少しだけ安心したような表情をし、安堵したような雰囲気を出していた。


 リュディアの安堵したような雰囲気を感じ取ったリースとリオン、エニス。3人は自分たちにはまだ大局を任せてもらえられる信頼が足りていないと感じた。そして、今回の戦争で信頼を得られるようにと意気込んでいた。


 そんな3人に視線を向けていたフレイは、内心でため息をついていた。リースとリオンの双子は、オルテシア王国の宮廷魔術師に任じられてから日が経っていない。それに実力があると周囲がいってもそれは、宮廷魔術師になるための試験を突破した実力である。その実力も試験で測った目に見える実力であり、実際の戦場では試験の内容などあまり意味をなさないことをフレイは知っていた。


 エニスに至っては、張り切り過ぎてミスをしないように手綱をしっかりと握らなくてはいけない。そのことでフレイは大変だと思い内心でまた、ため息をついていた。


 フレイとしては3人には張り切り過ぎないで、普通に平常心で臨めばおのずとリュディアから信頼を得られると考えていた。


 しかし、3人がそこまで意気込んでいるのは、多分だがリュディアがオズを特別扱いしているからだろうとフレイは考えた。しかし、能力的に考えて、今回オズに3人と一緒のことをさせるのは人材の無駄遣いだと改めて思った。


 フレイの贔屓目を抜いてもオズは、歴代の特に優秀なオルテシア王国の宮廷魔術師たちを軽く凌駕している。それこそ、オルテシア王国有史以来最強と言われている自分自身も超えているのではないかと思うほどでもあった。


 加えて秘密にされているが、<10年戦争>と呼ばれている戦争を終結させたあの出来事がさらに自分自身を超えているとさえ思わせている。魔物が蔓延り、神が闊歩するこの世界で成し遂げた偉業を。

3人には気の毒だが、同世代に目標とすべき魔術師がいることを運が良いと思えるようになれば、とフレイは思った。


 ここまで考えてフレイは内心でまた、ため息をついていた。歳をとると感傷深くなっていけないなと。ミスしても自分とオズがフォローすれば良いと。そのために自分がついて行くのだから。3人には悪いが、オズにとっても良い経験になるだろう。フレイは、リュディアが3人と話している時にそんなことを考えていた。勿論そんなことを考えていることを顔に出さずに。





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