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第14話

「リューイ、この後どうする?」


「ん、んん?」


「昼飯でも食べに行くか?」


「うん」


オズの膝の上で舟をこいでいたリューイを軽くゆすりながら聞いた。


「じゃあ、行くか」


「うん」


「うん、じゃなくて兄ちゃんの膝の上から降りような?」


 リューイがオズの膝の上から降りない中、多くの特待生たちは教室を出ていっていた。


 そんな中、銀髪を一つにまとめ肩に流したとがった耳の長い少女がオズ達に声をかける。


「私もご一緒してもいいですか?」


「構わないよ。えーっと……」


「あ、私はイルミア・ブランディアです」


 オズが了承した。声をかけた少女の名前が分からなく、言葉を詰まらせたところ声をかけた少女、イルミアが名乗った。


「あぁ、うん。イルミアさんね。気になっていたんだけど、アルタナ・ブランハートに雰囲気が似ているけど親戚?」


 いきなりオズがプライベートな話題を聞いてきた。


「はい、アルタナ・ブランハートは私の叔母になります」


 イルミアもいきなりの話題に対して特に含むところもなく笑顔で返した。


「にぃ、お腹すいた」


「じゃあ、食堂に行きますか」


 リューイが空腹を訴えたところ、オズが立ちあがり、話を切り上げ食堂に行こうと提案した。



★☆★



 リューイを背負いながらオズは配膳口にて、自分とリューイが頼んだ料理を待つ。イルミアがオズの隣でニコニコしながら料理が来るのを待っていた。


 出来立ての料理が配膳口から出され、オズ達は調理しているおばちゃん達に感謝を述べてから席を探した。


「ここの食堂の料理はどれも美味しいと叔母から聞いていますのでとても楽しみです」


「へぇ~、そうなんだ。リューイ、美味しいらしいぞ」


 リューイを椅子に座らせながらオズ自身もリューイの隣に座る。そしてオズの向かい側にイルミアが座る。


 オズは周囲を見渡し、ふと疑問に思っていたことを口にした。


「お昼時なのに人が少ないね」


「それはねぇ、ここが特待生や学院講師用の食堂だからよ」


 オズとしては答えを期待していたわけではなかった。しかしここまで色々と説明してくれていたイルミアではない声に驚いた。


 声のする方を見るとそこにはイルミアの叔母であり、オズ達の姉弟子であるアルタナがお盆を持ちながらこちらを見ていた。


「相席しても構わないわよね?」


 アルタナの質問にイルミアはオズに任せると視線で訴えていた。オズは少し考えてから答える。


「えぇ、リューイの隣じゃなかったらいいですよ」


「っく!! そう来たか。残念だが、非常に残念だが仕方ない。イルミア隣に座るよ」


「えぇ、構いませんよ」


 アルタナは悔しい、そして悲しいという表情でイルミアの隣に座る。


「……そんなにリューイの隣が良かったんですか?」


 オズはいまだに名残惜しそうにリューイを見ているアルタナに言う。


 その言葉を待ってました、とでもいうように、アルタナはまくしたてるように言葉を紡ぐ。


「オズ君は普段から一緒にいるからリューイちゃんの魅力に気が付かないのかもしれないのでしょう。そもそも―――」


「にぃ、まだ、ご飯食べちゃダメ?」


 アルタナがリューイのすばらしさ、魅力などを話そうとしたところ、愛しのリューイがお腹すいたと催促した。


「オズ君、何やっているのですか!! リューイちゃんに空腹を訴えさせるなんて、どういう神経をしているんですか!!」


「いや、アルタナが来て、しゃべり始めたからですよ?」


「ごめんね。リューイちゃん」


 アルタナがオズに対してなぜご飯を食べさせないのかとキレた。しかし、オズがアルタナのせいだというとアルタナは素直に謝った。


 なお、アルタナの痴態を余すことなく見ていたイルミアは、ショックを受けたような様子を見せなかった。


「では、いただきましょう」


 オズはイルミアの様子を訝しんだが、どうでも良いことだと思いご飯を食べようと3人に告げ、皆でお昼ご飯を食べ始めた。


 オズ達はお昼ご飯を食べながら、お喋りしていた。


「そういえば、オズさんの瞳と髪の色って、もしかして魔力焼けですか?」


 イルミアがふと思い出したかのようにオズの外見の特徴について聞いてきた。オズは特に気にした様子もなく答える。


「うん。そうだよ。もともとは青い髪に瑠璃色の目をしてたんだ」


「にぃ、魔力焼けって何?」


 リューイが聞きなれない言葉の意味を質問した。







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