―――とある工場跡地―――
「収穫有り、ですかねぇ…。」
ニヤリと思わず笑んでしまっていたようで、鏡を見て初めて私は気付いた。こんな表情も出来るのか…、としみじみと考えていると、小さな足音が耳に届いた。
「ハル、お帰り。」
「ただいま、リリィ」
ポフッ、と抱きついてきた小さな彼女の頭を優しく撫でる。このぬるま湯のような幸せを享受して人生を終えることも考えた。しかし、それでは俺の感じたあの感情を否定することになるのだ。それは、実にいただけない。何より、これまでの人生さえも否定することになるからだ。
全ては、己の望んだ結末を向える為にも、幸せなど手に入れている場合ではない。
「見つかったの?」
無表情に近い彼女が小首を傾ける様は、なぜだろうか、とても可愛らしく見えた。
「あぁ、まだ確定したわけではないけどね。きっと彼なら出来るはずさ…。」
小さな彼女を優しく抱き上げ、少し古びたソファに腰掛ける。もちろん、彼女は私の膝の上に座らせている。
文句を聞くつもりはない。
彼女がこちらを見上げてきて、何かを話しかけてきている。
いつまで、これを続けられるだろう。
ふと、そんなことが頭の中を過った。この優しい時間を失うのが惜しいとでもいうのだろうか。
馬鹿げている。
実に、馬鹿げている。
そう思わないといけない気がした。無意識にだけれども。
必ずや成功させて見せる。
そう思いながら、彼女との他愛もない話しを再開させた。




