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HAL-3000  作者: 夜叉猫
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―――とある工場跡地―――

「収穫有り、ですかねぇ…。」


 ニヤリと思わず笑んでしまっていたようで、鏡を見て初めて私は気付いた。こんな表情も出来るのか…、としみじみと考えていると、小さな足音が耳に届いた。


「ハル、お帰り。」

「ただいま、リリィ」


 ポフッ、と抱きついてきた小さな彼女の頭を優しく撫でる。このぬるま湯のような幸せを享受して人生を終えることも考えた。しかし、それでは俺の感じたあの感情を否定することになるのだ。それは、実にいただけない。何より、これまでの人生さえも否定することになるからだ。


 全ては、己の望んだ結末を向える為にも、幸せなど手に入れている場合ではない。


「見つかったの?」


 無表情に近い彼女が小首を傾ける様は、なぜだろうか、とても可愛らしく見えた。


「あぁ、まだ確定したわけではないけどね。きっと彼なら出来るはずさ…。」


 小さな彼女を優しく抱き上げ、少し古びたソファに腰掛ける。もちろん、彼女は私の膝の上に座らせている。


 文句を聞くつもりはない。


 彼女がこちらを見上げてきて、何かを話しかけてきている。




 いつまで、これを続けられるだろう。




 ふと、そんなことが頭の中を過った。この優しい時間を失うのが惜しいとでもいうのだろうか。




 馬鹿げている。

 

 実に、馬鹿げている。




 そう思わないといけない気がした。無意識にだけれども。





 必ずや成功させて見せる。


 そう思いながら、彼女との他愛もない話しを再開させた。

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