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俺は護る神になる  作者: 水色のかけら
プロローグ
3/3

カナシミ

 2日目


「ついに来たな。」

 俺はそう思った。

 自分の周りには金持ちがたくさんいたから「この間、ハワイ行ったんだ〜」なんて言葉を聞かされ続けたからってのもあるけど。

「一人旅って案外いいものかもしれないな〜。」

 そして、俺はハワイの景色を見渡す。ついでにおなかもぐーっと鳴った。

「あーなんか食べたいなぁ〜。腹もなってるし、そろそろ昼飯にするとしようかな。」

「あ、先輩。卵かけ御飯はどうですか?」

 誰か話しかけて来た。ものすごく自然に独り言の中に入ってきた。てか、先輩て何?・・・まぁいいや。取り敢えず返答しておこう。

「日本で普通に食ってんのに、ここで食べるとかアホだろ。むりな。」

 と、突き放してみた。すると、

「いやいや、ハワイ、いや外国!

 だからこそじゃないですか?なかなか外国まで行って和食にする日本人はいません。そう!先輩は伝説を作るのです‼」

 と、返してきた。ありえない。これはないぞ。

 こんな事って日本では無いぞ。もしかして、これがハワイの文化とかなんかかな?

 取り敢えず、顔をみて話せば分かってくれるだろう。

 そう思って卵かけ御飯の人の顔をみたら・・・・・・・・・知ってる顔だった。

「何でここにいるの?まさかついて来たの?あ・・れ・・・?俺、気配消したはず・・。」

「何ぱにっくになってるんですか先輩。

 これじゃ、地元の人や観光客の人達に迷惑がかかっちゃいますよ。で、中2病みたいなボケかまさないでください。」

 ・・・・・

 なんで後輩がここにいるのかな?

 なんで今まで気づかなかったんだろう?

「葉山。何でお前がいるんだ?

 ここはハワイだぞ。出かけるスポットとしては、ちと遠すぎやしませんか?」

 葉山はほおを緩めた。

 このほおを緩めた表情がいつも俺が見る葉山だ

「いやぁ〜。ずっと皆咲先輩をみてたら、こんなことになっていたんですよ。ところで、今さっき私の胸を見てたでしょ〜?「女の子にしては小さすぎやしないか?」とか考えてたりしてそうです。むー!」

「おれはそんな事考えないけど・・・・・・・。」




「そんじゃあ話を元に戻すよ。

 結局何をしてこうなった?」

「私は皆咲先輩をつけてました。」

「公の場でストーカー宣言とはいい度胸してるな。周りがまた、騒ぎ始めたぞ。」

 本当怖いわこの後輩。

「学校で先輩の目に光が無かったから気になって。もしや・・と思ったら、丁度町で皆咲君をみかけて。

 それで、大きい旅行者用のケースを持ってるじゃないですか。

 さらに、先輩の口の動きからして、ハワイと連呼していることが分かった。で、最終的には空港に辿り着いた。

 これが何を意味するかが分かりました。」

 ごくり、と唾をのんで俺は返答する。

「その意味とは?」

「一人だけハワイに行って楽しもうとしてたんでしょ?」

「え。」

「「え。」て何ですか「え。」て 」

「あ、いや、その通り過ぎてね・・・あはははは。」

 あぶないあぶない。この後自殺しようとしてる事がばれたのかと思った。

 安心していると、突然疑問に思った事があった。

「てか、何故来る事ができたんだ旅行代は高いのに。」

「普通なら高いけど、先輩の持ってた券はペアの旅行用の物だったから、1人の皆咲先輩の真後ろをつければ入れました。」

「ペア券・・・そうですか。

 で、一緒に来るなんてとんでもない事をしたわけだ。」

「いやぁ〜それほどでもないですよ?親に連絡取ってOK貰ったし。

 さらに、数合わせ的に役に立ったし。あ、もしかして駄目でした?」

 おせーよ!そりゃもう役には立ったけどおせえよ‼

「今更だなおい。・・来てしまったんだからもう駄目だとは言えんだろ。」

「ふふ、こうなると分かっていたからこそ、こっそり付いて来たんですよ。」

「葉山さんマジ怖い。」

「将来は恐妻家になりそうですね先輩。」

「いや、冗談じゃない。」


「そういえば、冗談じゃない事故がこの間ありましたよね。」

 え、突然何を言い出すんだ?

「トラックの突然の暴走で300人重傷を負って、100人死亡者が出た事故の事か?」

 取り敢えず返答してみた。

 あれはテレビでみても恐ろしかった。見たと言っても事故の後の街の光景の事で、街の家の294つが、トラックの暴走によりほぼ全壊していた。

「あの事故はまだ解決してないんですよね。だって、事件が起こる前にトラックの運転手は死んでいた事になるから。」

「死亡推定時刻が、事故が起こる1時間前になってるだなんて、謎だからな。」

「しかも、一人しかトラックに乗って居なかったなんて、どうやって暴走してたんでしょうか。」

「さあな」



「私たちの町で起こらなくて良かったですよね」

「やめろ。フラグが立つ。」


 ド─────────────ン


 手遅れだった。

 目の前に駐車されていたトラックが突然に動き出した。

 トラックはプロ並みのキレのあるカーブを見せUターン。

 こっちに突っ込んでくる。

 俺は、もう助からないかもしれない。そう思った。

 ひたすら俺は願った。トラック止まってくれと。でも、トラックが止まってくれる事はなかった。

 突っ込んでくる。

 俺は、目をつむった。

 大きな音が響いた。

 ド────────ン!

 トラックは止まった。

 突然横転し、葉山を押しつぶした。

 涙がこぼれた。

「葉山っ・・・葉山ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」

 涙は止まらなかった。














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