百人一首・第6首
数日後。
あの人達もあっという間にいなくなり百人一首部には平和な日常が訪れていた。
そんな時…
「すいません!」
と言いドアを開けた男の子。
するとあたしを指差し
「やっぱりそっくりだ!」
と言いあたしの手をとった。
「織姫様!今も昔もお美しいですね!」
織姫…?
「あたしは紅葉だけど…」
「俺は傘鷺 白貴」
カササギは七夕の話で織姫と彦星を7月7日だけに橋をかけてくれるっていう…あの鳥!
「織姫と彦星の仲裁ってこと?」
「はい!紅葉は絶対に織姫だ!歴女…それが証拠!」
歴女(歴史大好き女子)
あたしは歴史じゃなくて百人一首が好きなだけなんだけど。
「織姫様に聞きたいのです。カササギは…意味のあるものなのでしょうか。」
そう聞く白貴はどこか悲しそうだった。
あたしは息をつき
「どうしてそう思うの?」
と聞き返した。
「最近は七夕なんて信じてる人少ないですし鳥ならどの鳥でも橋をかけられるって話してて。本当にカササギが橋をかけてよかったのでしょうか。」
そんなこと聞かれてもあたしは織姫じゃないし、わからない。
でも…あたしは百人一首を取り出した。
「百人一首にも記されてるよ。カササギのこと。」
すると白貴はびっくりして
「本当ですか?!」
と言い百人一首をのぞきこんだ。
「中納言家持が詠ってるの。カササギがかける橋を見るともう夜だと感じるって。カササギのかける橋は織姫と彦星のためだけじゃない。世界のみんなのために明日への道の橋かけるんだと思うよ。」
あたしがそう言うと白貴は少し照れくさそうにしながら
「ありがとう。」
と言い部室を去っていった。