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百人一首・第5.5首
「なぁ。紅葉。お前、最近有名なんだけど、知ってる?」
夕飯を食べているとお兄ちゃんが聞いてくるので
「そーなの?初めて聞いたけど。」
私が口に物を運びながら言う。
「なんか…色々救われた人がいたみたいだぜ?「百人一首部は悩みを解決してくれる」なんてうわさもあるしな。」
マジか…
もちろんあたしには思い当たる節があった。
百人一首を使って悩みも解決したけど…
次の日。
部室へ行くとそこにはたくさんの人で溢れかえっていた。
「これ…全部悩みを持った人達…?」
あたしがあぜんとしていると
「ひどいな。これは。」
と後ろからもため息の声がもれた人が。
「露!」
あたしは後ろにいた露の名前を呼んだ。
「これって紅葉の悩み解決を依頼しにきた奴らだろ?前までは全然人がいなかったのに…すごいじゃん。」
そう言いあたしの頭をポンポンとたたく露。
そしてあたしはなぜか顔が赤くなってしまった。
何コレ…?
変なの…
「じゃあ、悩み解決してくるわ。」
あたしはそう言い人の海の中に入っていった。
「無理するなよ。紅葉…」
行く時に露のそんな声が聞こえたが気のせいだろう。