百人一首第・4首
「百人一首部に入らない?」
お兄ちゃんも露もいる前で、そう言ってしまったあたし。
なんかこの雰囲気…
告白したみたいじゃない?!
「みんなぁ~なんか雰囲気悪くない…?」
お兄ちゃんは楽しそうに笑っているが露は長名のことにらんでる…
怖いっ!
「いいんですか?」
「うん!」
こうしてあたしの強引?に進めて長名は新たに百人一首部の部員となったのです。
「紅葉はときどきよくわからない行動をとるよな!」
そう言い笑うお兄ちゃん。
「うるさいなぁ。」
あたしはお兄ちゃんに言い返す。
「露もいじけて帰っちゃったんだぞ?」
…そうだ。
もしかしたら露はあたしに拒絶してるって思ったかも…
「最悪じゃん!」
あたしが落ち込んでいると
「紅葉!錦!元気にやっとぉか?」
明るく、少しなまった声。
「富士!」
あたしはそうさけび走っていった。
いとこの田子 富士。
もちろん富士も百人一首が好き。
「今日からここに住むようになってな。よろしく!」
「うん!」
富士はあたしと同じ百人一首が好きだが…
百人一首の「風景」が好きなのだ。
「紅葉。俺の詩を詠ってくれないか。」
富士にそう言われあたしは息を吸った。
「田子の浦に~うち出でて~見れば白妙の~富士の高嶺に~雪は降りつつ♪」
あたしが詠い終わると富士は拍手して
「紅葉の声はすごく透き通ってきれいだ。」
声…あたしの?
「俺は冬に田子の浦に行きたい。山部赤人が詩にするような美しいその場所に俺は行きたいんだ。」
田子の浦…
そういえばあたしの名前も風景だったよな…
でも、あたしには富士みたいな見方はやっぱりできないや…
本当、富士はすごい。