百人一首・第1首
晴空悠真です。
今回は私も大好きな百人一首の物語です。
百人一首から始まる恋とは果たして…?
紅葉の悩み解決にも注目ください!!
あたし、枯旅 紅葉
「このたびは~ぬきもとりあへず~手向山~紅葉の錦神の~まにまに~♪」
詠い終わりあたしはクスッと笑った。
この詩はあたしの名前の由来ともなっている百人一首の一つで菅家という人の詩なのだ。
そしてこの詩には菅家の紅葉の美しさに感動した気持ちが素直に詠われているのです。
あたしは菅家が「美しい」と思った紅葉があたしは大好き。
本当に真っ赤で美しいんだもん。
あたしは百人一首が大好き。
百人もいるのに一人一人が全然ちがう思いをこめて詠ってる。
あたしは意味を持って百人一首が好き。
「紅葉♪はよ!」
そう言うのは…
「露…」
秋田 露小柄で無邪気な笑顔を見せる露はよく小学生にまちがわれるが…
実は中1のあたしより1つ上で中2。
となりの家で幼なじみ。
そして…
「紅葉!好き!」
毎日告白してくる変な人。
「もうやめてったら!露も知ってるでしょ?百人一首では思いを伝えたくて伝えられない人が愛しい思いを詩にして詠んでるんだよ?ちゃんと思いをこめて大事に言わなきゃ…」
そう受け流してしまうあたし。
露も百人一首が好きな一人。
そして露の名前も百人一首を元につけられている。
作者は天智天皇と書かれているが実はこの詩は農民の民謡だという事実がある一首なのだ。
そしてこの事実を明らかにしたのが露のおじいさんなのだ。
「…ごめん。でも…本気だから…」
真剣な目で言われ言葉につまってしまうあたし。
本気って…ずっと…?
放課後。
あたしは下駄箱に駆け足で急ぐ。
「アレ?紅葉?部活は?」
もちろんあたしは部活をやっている。
しかし…
「いいや。今日は用事があるの…」
嘘をつき部活をサボるあたし。
だって…部活には…
「紅葉♪」
突然の声にビクッとするあたし。
「はい…?」
「部活はサボってはいけませんよ~?」
不気味な笑みでそう言うのはあたしの1つ上の兄・枯旅 錦
実は錦は超ドSであたしの困るようなことばかりしてくる嫌な兄。
「ホラ。露も待ってるよ~」
「まさか…お兄ちゃん…見てたの…?」
すると錦は笑ったまま
「お兄様でしょ?紅葉?」
サーッと顔が青ざめるあたし。
こうなるお兄ちゃんはもう本気だ。
「百人一首部」
お兄ちゃんが集めた…男子部員しかいない。
「紅葉ちゃん。錦。おそいじゃないか~」
みんなそう出迎えてくれるが錦はあたしの肩に手を置いたまま
「露のとなりにすわりな。」
と言った。
神様…
あたし、こんなお兄ちゃん嫌です。
そしてあたしは露のとなりにすわりそのとなりにお兄ちゃんがすわった。
「じゃあ、今日はこの詩を一人ずつ言ってもらうよ~」
お兄ちゃんがそう言い百人一首を配る。
あたしは配られた百人一首を見て言葉を失った。
これ…全部「愛の詩」じゃん!