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異世界姉(兄)妹放浪記  作者: 一人貝
一章 幼年期
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六話 授業初日(下)

色々と突っ込みどころがあると思いますがご容赦ください。

 昼休憩を終えると、今度は魔法の授業だ。魔法の授業は剣術と違い座学に何時間、練習に何時間という風には決めておらず、その日その日で決めるらしい。授業は剣術と同じ六時間で、今日は座学だけで六時間を使うらしい。

 現実の世界で、六時間ずっと授業を受けていろ、と言われたら嫌な顔をしていただろうが、この世界は折れた時雨が元居たあの忌々しい世界ではないし、これから受けるのは、魔法というファンタジーに思いを馳せる者ならだれもが使ってみたいと思うようなものだ。これには()男子の俺だけでなくアリスもわくわくとしている。


 そして俺とアリスの部屋に、ちゃぶ台のような形をしているのに、おそらく価値が十倍から百倍は違うであろう机を、三人で囲んで授業が始められる。


「じゃあ、早速授業を始めていくわよ。私のことはリファ先生、って呼んでね」


「「はい、リファ先生!」」


「ふふ、リファ先生、いい響きだわ…」


 リファは初めて会った時のキリリとした顔を緩くしてニヤリと笑う。

 最初にあったときはとても大人な人だ、と思っていたが、こういうところを見ると、年下にいい恰好を見せたいだけの、ただの少女なんだと思う。

 俺はそれを見て、小さいころの時雨を思い返していた。歳は俺よりも下なのに、やたらお姉さんぶったりしてとても微笑ましかった。まあ、今は俺たちの方が子供なわけなのだけれど。


 自分の世界にトリップしていたリファはいきなりはっとなって、こちらの世界に戻ってきた。首をぶんぶんと振って、再び顔を引き締める。

 ようやく授業が始まるようだ。


「ごめんなさい、ちょっとぼーっとしてたわ。…ゴホン、それでは授業を始めるわ」


 先ほどと同じように始業の言葉を言って授業を始める。


「最初は魔力について説明していくわ。

 この世界には、魔法という特殊な力があるの。そして、その魔法を使うために必要なのが魔力ね。この魔はすべての生物が持っているんだけど、実際に使っているのは私たち人間や、頭の良いモンスターだけね。

 そしてこの魔力というものは空気中にも存在しているから、使ってもしばらく経てば回復するわ。まあ、一番手っ取り早いのは食べ物なんかから摂取することなんだけど」


 この辺りは俺たちが読んでいた本の最初の方にも書いてあったことだ。リファの説明はあまり上手だとは言えないが、それでも俺たちの読んだ本に比べればだいぶわかりやすかった。なんせ今のリファがした説明のところだけで十ページは使っていたからな。


「で、その魔力の最大値のことを保持魔力量っていうの。まあ、普通は魔力量しか言わないんだけどね。

 魔力量の最大値って言うのは人それぞれで違うの。これはトレーニング次第で増える人もいればまったくと言っていいほど変化しない可哀そうな人もいるんだけどね。

 …というわけで、今からあなたたち二人には魔力量を計ってもらいます」


 俺はそう言われて、午前中の無駄な運動を思い出してうげ、っと思ったが、どうやら魔法に関しては大丈夫なようだ。


「あ~、そんな嫌そうな顔しなくても大丈夫だよ。魔力量はこの魔法石って言う魔力に反応する石で量るから」


 そう言ってリファは前にあった時と全く同じ鎧から石を四つ取り出す。その石は透き通った緑色をしたものが二つと、まったく色のついていない透明なものが二つだ。…いったいどこにしまっていたのだろうか?


 魔法石。所持者の魔力に反応する特殊な石で、何種類か種類がある。それは所持者の魔力の量に反応するものであったり、質に反応するものであったり、触媒となって威力や質を高めたりするものなど、様々だ。

 俺もアリスも実物を見るのは初めてだったので、顔を近づけてその石を見る。本で見た知識だと、緑色の方が魔力量を計測するときに用いられる魔法石で、透明な方がそのものが持っている魔力の質――というよりは適性か――を判別するものだ。


 リファは俺たちがじーっと魔法石を見ているのを満足げな表情で見ていたが、やがてそれを、俺たちの前において話を再開し始めた。


「はいはい、それじゃあやり方を説明するわよ」


 手をパンパンと叩いてから、再び鎧の中から魔法石を二つ取り出して俺たちに見せる。


「まずこっちの緑色の石を手で持って、自分の心臓の少し下あたりに持っていくの。そこに魔力をため込んでる臓器みたいなのがあるらしいから」


 リファにならって俺たちも同じように魔法石を動かす。


「そしたら石を持っている手と臓器がつながっているのを想像して。…そしたら最後にその臓器から手に自分の魔力が流れるのを意識するのよ。で、十秒ぐらい魔力が流れるのを意識したらおしまい。石がどれだけ黒っぽくなったかで魔力量を判別するの」


 俺とアリスは自分の手をリファの前に差し出して、手を開く。そこから出てきたのは先ほどの緑を一切感じさせないほどに黒…いや漆黒に染まった魔法石だった。

 これを見たリファは目を丸くして、驚愕していた。


「え、えええ、えーーーー!!!???ちょっと持って、じゃなくてちょっと待ってよ!こんな色始めてみたよ、あの(・ ・)団長でさえ藍色を濃くしたぐらいの色だったのに、どうなっちゃってるの!?」


 リファは俺たちの肩をつかんでぶんぶんと揺らす。アリスは「はわーーーー!」と可愛らしい声を出しながら目を回していたが、俺は揺すられていることなど気にせずに別のことを考えていた。


 やっぱりか、と。午前中の剣の色に対するロイドの反応を見てからもしや、と思っていたがやはりそうだったらしい。要するに、この力があの戸塚という男がくれたチート能力なのだろう。俺としては本人の本質に影響する、とか言っていたからてっきりもっと別なものになるかと思っていたのだが、考えてみれば納得できる。

 俺は妹を、時雨を守れるような強い力が欲しかった。そしてそれがこのような才能になったのだろう。まだ詳しいことはわからないが、ひょっとしたらオリジナルの無敵技とかも使えるかもしれないな。


 時雨も同じように才能を持っていたということは、たぶん時雨も心の内で兄を、俺を守りたいと思っていたのだろう。

 それでも本質的なところでわずかに違いがあったから、剣の流派が違ったのだろう。そしてこれはおそらく魔法にも影響するだろう。




 俺とアリスはやっとのことで落ち着いたリファの手の中にある魔法石をじっと見ていた。先ほどまで透明だったその石は、今は彼女の髪の毛先に似た美しいエメラルドグリーンをしていた。これは魔力の質の判別で、彼女が風に適性があることを表している。


 リファが俺たちにも同じようにやることを勧めてくる。最初にアリスが机の上に置かれていた透明な石を手に取り、ぐっと握った。

 この透明な石を使って魔法の質を計るときには手から魔力を流し込むだけでいいらしい。アリスも先ほどのリファのように手から魔力を流し込む。十秒ほどが経って、アリスが手を開くと、魔法石は水色とエメラルドグリーンのツートンカラーに染まっていた。


「おお、これはまた珍しいね。二つの色を持ってるってことはその二つ…この場合だと水と風に適性があることになるよ」


 これもまた珍しいことのようなので、先ほどの過程がより確実なものになった。


 続いて俺も手に魔法石を握りこんで魔力を石に流していく。同じように十秒ほど魔力を流してから手をぱっと開く。そこには赤と、青と、緑と…虹色があった。

 この虹色は基本的には出ないはずの色まで混じっているので、七色よりもっと多いが、とりあえず虹色だ。


 これは先ほどのアリスの時よりも珍しいこと、というより前代未聞のことらしくまた大声を上げて叫びだす。


「えええーーーー!!!???虹色なんて過去の文献にすら乗ってなかったよ?!て言うよりこれどういうこと?どういうことなの?!」


 リファは先ほどと同じように俺の肩をつかんで前後にぶんぶんと揺らし始める。どうやら興奮した時にする彼女の癖のようだ。迷惑な癖だなーと他人事のように考えながらされるがままにされていた。チラリと横を見るとアリスがむすっとしたかをでこちらを見ていたが、俺と目が合うとぷいっとそっぽを向く。なんだ、俺が虹色を出したから嫉妬でもしているのだろうか。




 この日の授業はこの叫び声を聞いたロイドによって止められた。リファはしゅんとしていたが、帰る前に自作のテキストのような薄めの本を二冊くれて、「二人とも残った時間で今日の復習と、7ページまでの予習をしておいてね」といってとぼとぼと帰っていった。


 こうして最初の授業は終わったのだった。

自分でも何書いているのかわかりませんが、今以上に上手く書くことは無理そうなので諦めました。


ちなみにアリスと時雨の分け方は地球での話をしているか、この世界での話をしているかで分けてます。疑問に思われた方がいらっしゃいましたらごめんなさい。

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