十一話 入学式(登校)
時は流れ、いよいよ今日はルーズベン王立学園の入学式の日だ。
俺とアリスは余裕をもって昨日にはこの王立都市ルーズベンに訪れ、一夜を過ごしている。
また、この都市にはすでに入学試験のために訪れており、その時に街を探索していたためある程度の土地勘はもっている。
ちなみにテリーとティナもこの学園への入学を決めている。ただ、俺たちとは学部が違い、俺たちは騎士学科という学部だが、テリーとティナは使用人学科というところだ。
いったいどれだけの学部があるのだろうか…
今、俺とアリス、テリー、ティナは真新しい制服に身を包んで、学園の寮から学園までの道を歩いている。
寮は、学園に入学している者ならだれでも使用でき俺たちはここに昨日から住んでいる。前回は宿だったが、寮は宿よりも豪華だった。
「ん、あれはなんでしょうか?」
そう言ったアリスの視線の先を目で追ってみると、数十メートル先で二十人程度の人だかりができているのを見つけた。
俺達四人は多少早歩き気味でその集団に近寄って、集団の中心を覗き込む。
「おい、おまえが先にぶつかってきたんじゃねえか!」
「は?おまえが肩をぶつけてきたんじゃねえか!」
どうやら騒ぎの中心にいるのは日本でいう小学校六年……十二歳程度の少年二人のようだ。ただ、話を聞いているとこの言い争いがしょうもないということがわかる。
「姉さん、止めるべきでしょうか?」
というアリスの問いに、どうしようかと考えていると、突如として少年二人を囲うように見ていた野次馬たちの頭上を軽々と越えて跳んでくる影が見えた。
その影は俺たちの目の前で地面に着地すると、そのまま目にも見えない速さで少年二人に迫り(正確には俺たちには見える速さで)、すばやく手刀をうなじのあたりに打ち付け少年二人を気絶させた。
異世界にも手刀で相手を気絶させる、なんてことやる奴いるんだな…
などとどうでもいいことを考えていると、手刀を打ち付けた主である少女は、俺たちの方に向き直り話しかけてきた。
「いやぁ、出過ぎたまねだったかなぁ?」
「いえ、そんなことはありませんよ?私たちはこの方たちを止めるべきか考えていただけですし、この方々を止めないともっと大きな騒ぎになる可能性もありましたから」
と、俺は流暢なお嬢様言葉で返答した。…できてたよな?
「そっかぁ、それならよかったよぉ」
少女は俺の言葉を聞くと、頬を軽く掻きながらはにかんだ。
「あ、自己紹介がまだだったねぇ。私はミリス・シャルーティ、ルーズベン王立学園の騎士学科三年次生で風紀委員会に所属しているんだよぉ」
異世界にも風紀委員会があるんだな…
ミリスの自己紹介を聞いて最初に思ったのはまたもどうでもいいことだった。
とりあえず新キャラをテンプレ登場させてみました。
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