九話 ある日の休日と年子の兄弟②
前回のあとがきで書いたように、今回の話はだいぶ短いです。
俺たちの家に着くと、先ほどまで見ず知らずの中であったエルフで年子の兄妹、テリーとティナはいきなりガクガクと震え始めた。
俺はどうしたのだろうと思い、声をかける。
「二人とも、大丈夫?」
俺のその言葉に反応しているのかしていないのかはよくわからないが、先ほどよりは足の震えがおさまり、かわりに唇がプルプルと震え始め、二人の口からか細く声が漏れだす。
「「ぉ……」」
「「お?」」
「「おっきいぃぃぃぃぃいいい!!!」」
いきなりの大声に俺とアリスは驚いて半歩ほどの退いてしまう。そしてテリーとティナはその言葉を皮切りにして、次々と言葉の雨を吐き出していく。
「な、なんなんだこの豪邸は?! 貴族街に入ったあたりから変だと思っていたけどこんなこんな豪邸な家に住んでたの!?」
何やらキャラが崩壊しかけているテリーが息もつかずに言葉を投げかけてくる。
「いや、うち一応伯爵家だし…」
俺はその言葉に押され気味でつい普通の言葉遣いになってしまったが、理由を説明する。
「「伯爵家!?」」
再び声をハモらせてテリーとティナは大声を上げる。いくら土地が広くて声が聞こえにくいとはいえ、こんな大声で騒いでいたら周囲の家に迷惑をかけてしまうだろう。
そのことを俺が注意すると、やっとのことで二人は落ち着きを取り戻した。
「落ち着きましたか?」
アリスがいつも通りの落ち着いた、一見すれば感情の起伏に乏しい声を二人に投げかける。
「はい…落ち着きました」
冷静になったテリーがやや声のトーンを落として返事をする。
「それじゃあ今から父上と母上に二人を会わせます」
テリーとティナはアリスの言葉に何かを言おうとしたが、それを言葉にする前にアリスが玄関の方へと歩いて行ってしまったので、それは声にはならなかった。
玄関を開けるとそこには剣を持って何やら怪しいポーズで外へ出て行こうとしているロイドと、それをにっこりとした笑顔を浮かべながらロイドを片手で押さえつけるセレナの姿があった。
「あの、何をしているのですか? お父様、お母様」
「あら、クリス、アリスお帰りなさい♪ ちょっとこの人がバカなことを言い出すものだから、押さえつけていたところよ。
あら? そちらの子たちはお友達かしら」
「この二人は今日知り合ったテリーとティナです。それで、この二人についてお父様とお母様に少々お話があるのですが…」
「わかったわ。それじゃあご飯を食べながらゆっくりとお話ししましょう。ほら、あなたもいつまでも借りてきた猫のようにしてないでリビングに来なさい」
セレナの言葉にロイドはビクりと反応し、セレナの後を付いて行った。
本当にこの父親はなんなのだろうか?
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食事をしながら、俺とアリスは2人について説明を行った。2人が里を追い出されてしまったこと、行く場所がないこと、里を追い出されてしまった経緯など、俺たちが聞いたことを事細かに説明していく。俺たちの話をロイドとセレナはしっかりと聞いてくれた。
そして最後にテリーとティナをここに住ませてほしいと頼む。
「お父様、お母様、どうか二人をここに住まわせてください」
「私からもお願いします」
俺とアリスが頼むと、二人は下を向き考え始める。
やがてセレナが顔をあげ、言葉を紡ぎ始める。
「わかりました良いでしょう。ただし条件があります。ただ二人をこの家に住ませるというのはいろいろと問題が発生するので、二人はクリスとアリスの護衛という形で我が家に招き入れます。なので二人もクリスたちと一緒に剣術と魔法の訓練を受けてもらいます。それでよろしいでしょうか?」
いつものホワホワとした感じと違う、真面目な表情をしてセレナがテリーとティナの二人に尋ねる。
テリーとティナは虚を突かれたかのような顔を一瞬したが、すぐにまじめな顔つきになって返事をする。
「「よろしくお願いします!!」」
「では二人には剣術、魔法、礼儀作法、その他もろもろを覚えてもらいます。いい機会ですしクリスとアリスにも覚えてもらいましょうかね」
俺達4人はこの言葉に苦笑するしかなかったのだった。
即興で造り上げた話なのでクオリティはだいぶ低いです。誠に申し訳ありません。




