書籍版魔剣戦記、または公式サイトから来られた方へ
初めましての方は初めまして、いつもお読みくださっている方々にはご無沙汰しております藍藤♂です。
この度、本作魔剣戦記はオーバーラップ文庫様より書籍化の運びとなりました。
そのことに関しまして、書籍版や公式サイトから来た方に向けてお話したき議がございましたのでこうして筆を執った次第です。
もちろん普段から魔剣戦記をお読みくださっている読者様にも関係があることでございますので、よろしければ最後までさらりと目を通していただけると幸いです。
さて、本作魔剣戦記ですが、書籍版とWEB版とで大きく差異がございます。
この一年で書き慣れたことで、文章をより読みやすいよう改稿したという部分もありますが、書籍版とはもっと大きなストーリーラインの部分で変化があります。
それこそプロローグから軽く変化しており、最初の村救出編などは50対2ではなく300対50になっていたり。
これ以上のことはネタバレになるので止めておきますが、竜基の持つ葛藤が強くなり、加えて決意のシーンもまた濃く書き直しております。
ですので、それに基づきストーリーも大きく変化した、という次第です。
なぜ、そうなったのか。
この変化は編集様側からの意向ではなく、僕の方から「書籍用のプロット」を提出した、僕の意向です。
大きな理由は二つ。
一つは書き始め当初の僕の筆力が圧倒的に足りず、表現が上手く出来なかったこと。現在も試行錯誤を繰り返して悪戦苦闘しておりますが、それでも以前に比べれば書ける幅が広がったので、やっと"したかった表現"が出来るようになった、ということ。
序盤の盗賊編に限っても、"精霊石"や"夜獣"に頼るしかなかった部分を、書籍版ではきっちり人対人で書き直しております。
二つ目は、なろうという土壌で受け入れられるか不安な部分があったこと。"葛藤"や、主人公が苦しむシーンというのは、なろうという土壌では余り歓迎されない部分がどうしてもあります。もちろんそういう部分を書ききってなお受け入れられる実力派の方々はいらっしゃいますが、僕はその自信がありませんでした。
そういう部分で"書けなかったこと"が書籍版では書ける。だからこそのプロットの大幅変更の申し出でした。
という理由の元、改めて原稿として形にし、"面白い"と評価をいただけたので書籍版はああいった形になりました。
WEB版も勿論、ライトな楽しみ方が出来る点で、主人公がかっこよく戦う点で、自分でも面白いと思っております。
ですが書籍版はある意味で僕の"魔剣戦記"に対する全力が出せたことも確か。
WEB版、書籍版の形は大きく変わりますが、両方楽しんでいただけたらというのが本音です。
書籍版とWEB版の差異についてお話した後で、改めてお話させていただきます。
書籍版、または公式サイトから足を運ばれたみなさま。
残念ながら"書籍版の続き"としての魔剣戦記を提供することは出来ません。すでに一巻の時点でWEB版とは大きく異なる道を進んでいます。
ですが、別史として、竜基たちが歩んだ別の可能性を楽しんでいただければ幸いです。
WEB版からお読みいただいているみなさま。
いつも本当にありがとうございます。みなさまのブックマークが、藍藤♂の今日の執筆の原動力です。
書籍版は、WEBの魔剣戦記を楽しんでいただいたみなさまには、もっともっと楽しんでいただけるお話になっております。ここまで到達出来たのは、WEBで支えてくださったみなさまが居らっしゃるからに他なりません。
感謝の言葉もありません。
以上のことを確認した上で、よろしければWEB、書籍ともどもみなさまに楽しんでいただきたいと藍藤は思っております。
では、お読みいただきありがとうございました。
みなさまの素晴らしい読書生活の片隅に残っていられるよう、これからも精進して参ります。
2014/09/14 藍藤♂/藍藤ユウ