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第90話『運命について、語っていた』

 

 ■草原と平穏の国:男主人邸

 

SE(扉を叩く音):コンコンッ

 

【男主人】『僕だけど?』

【長ミミ】「どうぞ、お入り下さい」

 

SE(扉の開閉音):ガチャ、ギィ、バタン

 

【男主人】「ただいま、調子はどうだい?」

【長ミミ】「お帰りなさいませ。調子は完全に元通りです。そろそろ部屋の外に出て、仕事に復帰させてたいのですが、読書も飽きてきましたし」

【男主人】「そうか、それじゃあ明日から徐々に復帰してもらおうかな。だけど、しばらくの間は無理をしないように」

【長ミミ】「かしこまりました。ところでご主人様……」

【男主人】「どうした? やっぱり、どこか具合悪いのか?」

【長ミミ】「いえ、唐突な質問なのですが、ご主人様は“運命”の存在について、どう考えていますか?」

【男主人】「ほんと唐突だね……“運命”か、“人が起こすべきことはあらかじめ決まっている”と言う意味の“運命”かな?」

【長ミミ】「ええ、やはり、“運命”と言うのはあるのでしょうか?」

【男主人】「魔術師としては、存在すると言わざるをえないかな。魔術師の始祖が、魔術と言うのは“運命に介入する技である”として、定義したと言われているし」

【長ミミ】「ご主人様本人としてのご意見は?」

【男主人】「預言者の理屈と一緒かな? 預言者が、ある船が沈没すると予言する。もちろん、お客はそんな船には乗らないだろう? 船は出港しなくなって、結果として沈没もしなかった」

【長ミミ】「つまり、預言者の予言は外れたわけですね?」

【男主人】「そこで預言者はこう言うのさ。『私の予言のおかげで船は沈没せずに済んだ』ってね」

【長ミミ】「……結局ご主人様は、“運命”の存在を信じていないのですか?」

【男主人】「“運命”は存在すると思うね。だって、全ての結果は“運命”の通りなんでしょ? だとしたら“運命”ほど、便利な言葉はないよ。

 だけど、“運命”という言葉を逃げ道にするべきじゃないし、逃げ道にはならないとも思っているね」

【長ミミ】「逃げ道?」

【男主人】「そう、“運命”という言葉を使うこと自体、無意味な事なんだ。その事を考えずに“運命”のせいにして、自分のすべきことを放棄するのは違うと思ってる。……こんな答えで役に立つのかな?」

【長ミミ】「はい。十分です。ありがとうござました」

【男主人】「ん、それなら良かった」

 

 

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