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第82話『はっきりとした話を、誤魔化そうとしていた』

 

 ■草原と平穏の国:男主人邸

 

【男主人】「…………」

【長ミミ】「…………」

【男主人】「あ~……昨晩のことは、覚えてるんだよね?」

【長ミミ】「ええ、うっすらとですが……ただ、気を失う直前、ご主人様が私の右掌を切りつけたあたりから、記憶が曖昧です」

【男主人】「……使われた毒は、“火蠍の毒アンタレス”といって、服毒した物の体内に流れる魔力を狂わせるんだ。もともとは、火蠍と同じ岩山に棲む霊鳥に対して適合した毒と言われてる」

【長ミミ】「なるほど、つまり、私の保有魔力の循環が阻害されて、高熱を出していたということですね? 例えるなら、換気をしないサウナのような」

【男主人】「うん、大体そんな感じかな。魔術による治療っていうのは、基本的に治療を受ける人の保有魔力に干渉するんだけど、この辺りは知っている?」

【長ミミ】「ええ、“治療ヒーリング系”と呼ばれる魔術系統の基本ですね」

【男主人】「今回の毒の場合、治療対象者の保有魔力の循環が狂っているため、魔術による治療はしにくいんだ。それこそ難易度の高い治療魔術の《完全蘇生リィンカーネイション》か《神威祝福ゴッドブレス》くらいの魔術じゃないと効果がない」

【長ミミ】「ご主人様だったら、使えるのでは?」

【男主人】「いや、治療院や神殿の秘奥技とされる魔術までは使えないよ」

【長ミミ】「そうですか……では、私はどうして助かったのですか? 血抜きした程度で治る毒ではないようですが」

【男主人】「あー、やっぱり気になるかな?」

【長ミミ】「……それなりには」

【男主人】「簡単に言えば、僕の魔力の循環と長ミミの魔力の循環を無理やり一つに繋げたんだ」

【長ミミ】「???」

【男主人】「水の濁った小川に、大きな川との水路をつないで、無理やり綺麗な水の流れにした……みたいな?」

【長ミミ】「なるほど……」

【男主人】「で、保有魔力の循環は基本的に人間の体液、つまり血液なんかの流れに沿っているから……」

【長ミミ】「私とご主人様の水路を作るために掌を切りつけ……排水路を作るために、口腔粘膜による接触を行なった、というわけですね?」

【男主人】「うん、まぁ、そういうこと、かな? 理解が早くて助かるよ」

【長ミミ】「ご主人様、それは、俗に言うディープキスという行為ですね」

 

 

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