~幕間~『草原軍5』
■森林と調和の国:草原軍野営地
【幼ミミ】「魔術師さん、わたしに魔術を教えてくれますか?」
【魔術師】「理由を聞いていいかな?」
【幼ミミ】「強くなりたいの」
【魔術師】「魔術を覚えると強くなれるのか?」
【幼ミミ】「だって、魔術師さんなら、魔術で熊にも負けないでしょ?」
【魔術師】「ああ、確かに、僕が魔術を使えば熊くらい一瞬で倒せるな」
【幼ミミ】「強くなって、わたしも敵をやっつけるの」
【魔術師】「強くなって敵をやっつけて、どうする?」
【幼ミミ】「お父さまとお母さまのカタキをとるの」
【魔術師】「カタキって意味は分かってるのか?」
【幼ミミ】「お父さまとお母さまを殺した人を殺すってことだよね?」
【魔術師】「まぁ、間違えじゃないな……」
【幼ミミ】「魔術を教えてくれますか?」
【魔術師】「…………そういう理由なら、僕は教えられない」
【幼ミミ】「なんでっ!?」
【魔術師】「僕にとって、幼ミミみたいな子が、人を殺すのは、とても悲しいことなんだ」
【幼ミミ】「でも……わたしは……」
【魔術師】「幼ミミ、よく聞いて、君に人殺しをさせたくないのは、僕のワガママだ。だから、君に約束しよう。君の両親の仇は僕が取るよ」
【幼ミミ】「…………魔術師さんが?」
【魔術師】「うん、人を殺すのは、僕がやる。だから、幼ミミも約束してくれるかな?」
【幼ミミ】「約束……?」
【魔術師】「人を憎んでもいい、僕のことを嫌ってもいい……だけど、二度と人を殺すだなんて、言わないでくれないか?」
【幼ミミ】「……わたしは魔術師さんのこと、嫌いになったりしないよ?
わたしを助けてくれたのは、お父さまとお母さまと魔術師さんだから……他のみんなが魔術師さんを嫌いになっても、わたしは魔術師さんが好きだよ?」
【魔術師】「……ありがとう。少し驚いたけど、嬉しいよ」
【幼ミミ】「だから、魔術師さんに約束するね。二度と人を殺すって言いません……だから、魔術師さん、悲しまないでください。お願いします」
【魔術師】「ああ、そういうお願いなら、大歓迎だよ」