表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/181

第80話『黒ミミさんに、殴られていた』

 

 ■草原と平穏の国:男主人邸

 

SE(打撃音):バキィッ!!

 

【男主人】「つ~っ……気は済んだかな?」

【黒ミミ】「ふん、一発で気が済むわけないだろ」

【男主人】「悪いけど、これ以上は止してくれないかな」

【黒ミミ】「アタシは、言ったよな? 長ミミは幸せか、って? 長ミミは、幸せになる権利があると思ってるんだ」

【男主人】「ああ……すまなかった」

【黒ミミ】「ふんっ、その殊勝な態度に免じて、今回は許してやる」

【男主人】「助かるよ。あんな一撃を何発も食らったら、これからの行動に支障が出る」

【黒ミミ】「で、どうするつもりなんだ?」

【男主人】「黒幕は、分かっている……今回のことは、向こうにとって、あくまで嫌がらせに過ぎないんだろう。嫌いな相手の人形をボロボロにして、喜んでいるようなものだ」

【黒ミミ】「気分が悪くなる話だ。アタシらがオマエの物のような扱いされていることも含めてな」

【男主人】「君だって、僕の噂を聞いてたんだろ? 君もきっと僕の愛人扱いされているさ」

【黒ミミ】「長ミミの報復をするんだろ? アタシも協力してやってもいい」

【男主人】「悪いけど、君の力を借りるつもりはないよ」

【黒ミミ】「そりゃそうか、得体の知れない暗殺師は信じられないだろうさ。でもね……」

【男主人】「待った。それは違う」

【黒ミミ】「何が違うんだい?」

【男主人】「君の腕も人柄も信じているよ。今の状況は、相手一人を暗殺して終わるようなもんじゃないんだ。それで済むなら、僕がとっくに手を下している」

【黒ミミ】「つまり、それほどの相手ってことかい?」

【男主人】「ああ……暗殺して気が済むのは一瞬だけだ。統率を失った、相手の勢力がどんな手段に出てくるか分かったものじゃない。やるときは勢力ごと、まとめて力をそぐ必要がある」

【黒ミミ】「慎重だな。まぁ、闘士はいつでも冷静であるべきだ。その姿勢は認めてやる」

【男主人】「僕は臆病なだけさ。普通の人より丈夫で、バケモノと呼ばれるくらい魔術が使えると言っても、決して万能なんかじゃない」

【黒ミミ】「自然の中で最後まで生き残れるのは、強いヤツでも偉いヤツでもなく、自分が弱いことを知っているヤツだ。

 強いヤツは何も考えないし、偉いヤツは何もしようとしない。自分が弱いと知っているヤツは、生き残る方法を考えるし、何をするにも躊躇ためらわない」

【男主人】「それは?」

【黒ミミ】「エルフ族の闘士に教えられる訓戒みたいなもんだ。オマエに相応しいだろ?」

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ