第78話『長ミミさんが、苦しみだしていた』
■草原と平穏の国:馬車の中
【長ミミ】「…………」
【男主人】「やれやれ、やっと開放された……」
SE(馬車の音):ガタゴト……
【長ミミ】「…………(肩に寄り掛かり」
【男主人】「ん? 疲れて寝ちゃったのか?」
【長ミミ】「……はぁはぁ……」
【男主人】「!!??」
【長ミミ】「くっ、うっ……」
【男主人】「お、おい、長ミミっ!? どうしたっ!?」
【長ミミ】「……ご、主人、様……申し……ません……(離れ」
【男主人】「離れなくていい、辛いなら僕に寄り掛かってろ!!(ぐっと抱き寄せ」
【長ミミ】「あっ……くぁっ……」
【男主人】(身体が異常な熱い。高熱病の症状に似ているが、発症してすぐにここまでの熱になることはない……となると……)
【男主人】「これは、“火蠍の毒”か?」
【男主人】「……レジスト リヴィン リカバリィ……《毒素対抗》! ……レジスト ディクリース センス……《苦痛対抗》!!」
【長ミミ】「……はぁはぁ……」
【男主人】(いつからだ? いつから様子がおかしかった!? なんで僕は気付かなかったんだ……マズイぞ、これが本当に“火蠍の毒”だとしたら、僕の魔術では解毒できない……医療魔術の専門家じゃないと……しかし、この状態だと長くは危険だ……)
【長ミミ】「ご、しゅ……」
【男主人】「無理に喋らないでいい! 今は、体力を温存させて……」
【長ミミ】「わ、かり……」
【男主人】(僕が毒を受けたなら問題はなかったのに……いや、向こうも僕に毒が効かないことは知っている……だから、長ミミを狙ったのか!?)
【男主人】「くそっ、何か、何か方法はないか!! 考えろっ!!」