第75話『副官女は、少し不満でいた』
■草原と平穏の国:夜会(広間)
【副官女】「…………それで、どういうわけなのですか?」
【男主人】「お、おお? 副官女、な、なんか怒ってないか?」
【副官女】「怒っていません! ただ、何で、あの長ミミさんが、男主人様のパートナーとして、ここにいるのか理由を教えてください!」
【男主人】「えっと、。今日は~~というわけで、招待を断るわけにはいかなくてね。長ミミにパートナーに扮してもらったんだ」
【副官女】「それでしたら、私に言ってもらっても良かったのに、その……部下として! そう、男主人様は師団長で、私が副団長なんですよ? もっと頼って下さい!」
【男主人】「ありがとう。気持ちは嬉しいけど、副官女は東公爵のパートナーの奥様の代理と言う役目があったんだろ?」
【副官女】「そ、それはそうでしたけど……」
【長ミミ】「副官女様、先ほどはご無礼をいたしました(ぺこり」
【副官女】「べ、別に謝るようなことじゃないわ!」
【長ミミ】「では、ありがとうございました。とっさにこちらと話を合わせて頂いけたおかげで、周りにいた方々にも、私の演技がバレずにすみました」
【副官女】「感謝ならば、受け取っておきます。けど、海を見せたいと思ったのは本当よ。いつか猫ミミちゃんも連れて、私の実家に遊びにいらして……その、良ければ男主人様も一緒に」
【男主人】「そうだね。厄介ごとが一段落したら、それもいいかもしれないね」
【東公爵】「おお、副官女……こんな所にいたのか!」
【副官女】「あ、お父様……」
【東公爵】「おや?」
【男主人】「東公爵様、ご無沙汰をしております」
【東公爵】「おお、男主人殿かっ。いやいや、お互い忙しいからな。会うのは2ヶ月前の会議振だな、俺の娘の仕事振りはどうだ?」
【男主人】「お蔭様で、お嬢様がいなくては、僕の仕事は始まらず終わりを迎えられません」
【東公爵】「はっはっは、そうかそうか、副官女は少し色気は足りないかもしれんが、その分、俺よりもずっと真面目で賢いからな」
【男主人】「そんなご謙遜を、お嬢様はまさに才色兼備、我が軍の麗しい花ですよ。と言っても3人だけの小さな軍ですけどね」
【東公爵】「ところで、何故こんな所にいるんだ?」
【男主人】「さて、僕も招待主に直接問いたい気分です」
【東公爵】「気を抜くなよ。それと、この夜会が終わったら近く俺の屋敷に来い……」
【男主人】「ええと……」
【東公爵】「王子様からな、事情は伝えてもらった。水臭いじゃないか、俺にも協力させろや」