第70話『部下男が、好かれていた』
■鉱山と武勇の国:宿屋
【黒服女】「部下男様、お食事を持ってまいりました~♪」
【部下男】「あ、ありがとうございます。黒服女さん」
【黒服女】「そんな、“黒服女さん”だなんて、他人行儀なっ! わたしのことは“黒服女”と呼び捨てて下さい!」
【部下男】「いや、その……」
【黒服女】「部下男様は、わたしの運命の人なのです。峠で行き倒れていたわたしに、そっと差し出してくれたサンドイッチの味、一生忘れません!!」
【部下男】「だから……そんな大したことじゃないし……」
【黒服女】「それとも、アレですか! わたしは、呼び捨てにする価値がない女だと、そう仰るのですかっ!? 確かにちょっとばかり方向音痴かもしれませんが、こう見えても職務には忠実、思い込んだら一直線、わき目を振らずにあなた様の忠実な下僕でありたいと、はちきれんばかり思いで胸がいっぱいです!!」
【部下男】(なんか今サラリととんでもない事を言ったよな!?)
【黒服女】「呼び捨てがダメならば、“黒たん”と呼んでもらってもいいのですが!! むしろ推奨!? ……『そんな白髪女さんが見ていますっ』『いいじゃないか、黒たん、オレとキミの仲じゃないか』『ああ、部下男様っ♪』……コレが正解でいいですかっ!?」
【部下男】「…………ごめん」
【黒服女】「謝られたーー!! わたしが精一杯振り絞った勇気を返してっ!! いや、自分でも分かっているんですよ。ちょっとばっかり夢を見ちゃったかなって、でも、少しくらいロマンを追いかけたくなるのが人間じゃないですか!!」
【部下男】「ロマンを求めるのが人間、って言葉には少しだけ共感できるけどな」
【黒服女】「ですよね!? ああ、部下男様とわたしの気持ちが、今ひとつに!! さぁ、男のロマンである、漆黒のメイドさんルックの権化たるわたしに飛び掛ってきてください、部下男様っ! いつでも、どこまででも、わたしは部下男様の熱く滾った思いを受け止めてみせますっ!」
【部下男】「もう、何をどう突っ込んでいいんだよ!!」
【黒服女】「もちろん、わたしに! 部下男様のパッションを! 真正面から!」
【部下男】「違うーー!!」
【黒服女】「すみません、何か粗相をしてしまったのでしょうか? それとも、これからそういうプレイをする前置き? 部下男様ったら、案外マニアックな……」
【部下男】「落ち着け! オレも落ち着くから、まず、オマエが落ち着けっ!!」
【黒服女】「はい、落ち着きます!!」
【部下男】「ほら、深呼吸~(ぜぇはぁ」
【黒服女】「しんこきゅ~(すぅはぁ」
【白髪女】「いつもながら楽しい娘だねぇ。あ、食事は先に頂いているよ(ぱくぱく」
【部下男】「お祖母様……人事だと思って……」
【白髪女】「残念ながら、他人事っちゃ他人事だろ?」
【部下男】「仰るとおりですけどっ!!」
こういう、支離滅裂系の妄想娘は結構好きなんです。
●黒服女
【種族】:人間族 【年齢】:20歳 【性別】:女性
【一人称】:わたし
【設定】:
・空腹で倒れている所を部下男に助けられたらしい。
・部下男のことを、部下男様と呼んで慕っている?