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第66話『長ミミさんは、少し警戒していた』

 

 ■草原と平穏の国:男主人邸

 

【黒ミミ】「さて、久しぶりだな、長ミミ」

【長ミミ】「……お久しぶりです。ここに来たのはお義父様の命令ですか?」

【黒ミミ】「ああ、偉ミミ様からの任務だ」

【長ミミ】「私の様子を見に来た……ということでしたら、黒ミミさんでなくても良いはずですし、そもそもこの家に雇われる必要はありませんね」

【黒ミミ】「一応、長ミミの様子見ってのも指令にはあるけどな。この家にいるのは想定外だった。オマエは、王子付きの侍女をやっているんじゃなかったのか?」

【長ミミ】「となると、狙いはご主人様でしょうか?」

【黒ミミ】「アッサリと無視するなよ。しかし、『ご主人様』という呼び方が堂に入ってるじゃないか」

【長ミミ】「ええ、今の私はメイドですから、ご主人様のことはご主人様と呼んでいます。それで、ご主人様へ害を与えるつもりはないのですが?」

【黒ミミ】「大雑把に言うなら、アタシは“救森の魔術師”の動向を探ってくるように言われているだけだ」

【長ミミ】「それはつまり、ご主人様を今回の戦争において、自軍の持ち駒として扱おうという魂胆こんたんですか?」

【黒ミミ】「さてな、細かい点ではいくつか指令は受けているが、そこまでは言われていない。あと、いくら身内とはいえ、これ以上は話さないぜ。もっとも、ほとんどがアタシの独断での裁量に任されているんだが」

【長ミミ】「…………」

【黒ミミ】「にらむなよ。ああ、昔の長ミミは可愛かったのになぁ。“お姉ーちゃん”とアタシのことを呼んでくれた頃が懐かしい」

【長ミミ】「確かに、長ミミさんからは“お姉ーちゃん”と呼ぶように言われていましたが、実際には“黒ミミ姉さん”と呼んでいたと記憶しています」

【黒ミミ】「年下のクセに相変わらず、可愛くない性格してるな」

【長ミミ】「年下と言われても、黒ミミさんから見れば、人間族は例外を除いて全員が年下でしょう」

【黒ミミ】「人の歳についてアレコレ言うなよ」

【長ミミ】「先に歳の話をしたのは黒ミミさんでしょう。私が少しばかり生意気な性格だとしても、それと年齢は関係ないと思います」

【黒ミミ】「まぁ、いいや、この家でしばらく世話になるんだ。よろしく頼むぜ」

【長ミミ】「はい。それでは、まず、この服に着替えてください」

【黒ミミ】「……は?」

【長ミミ】「ご主人様から伺っておりませんか? メイドとして雇われたのですよ?」

 

 

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