~幕間~『主従2』
■鉱山と武勇の国:皇宮(鉄皇女執務室)
【黒騎士】「……以上が、弟皇子様の軍の報告になります」
【鉄皇女】「そう、出立こそ遅れたのに進軍自体は順調みたいね」
【黒騎士】「ずいぶんと他人事のように仰いますな」
【鉄皇女】「あら? 出立が遅れたのは兄皇子派による妨害工作のせいでしょ?」
【黒騎士】「ええ、そういうことになっておりますが」
【鉄皇女】「なら、そういう態度をとっていればいいじゃない。弟皇子って、プライドばかり高いバカで好きじゃないのよね。根暗で陰険な兄皇子に比べれば、愛嬌がある分、まだマシかもしれないけど」
【黒騎士】「まぁ……どっちもどっちかと」
【鉄皇女】「「草原と平穏の国」も援軍を出したと言ってたわね。それで戦況はどうなるかしら?」
【黒騎士】「はい、草原軍2万5千ですね。総大将は弟大公だとか……森林軍3万5千とあわせて6万、対する俺らが鉱山軍は7年前の3倍近く8万5千です」
【鉄皇女】「今回は小競り合いでは済まなさそうね。ところで、例の“不死の魔人”は?」
【黒騎士】「報告によれば、今回の援軍には従軍をしてないようです」
【鉄皇女】「なんで? 鉱山軍にとっては恐怖の象徴でしょう。いるだけで、士気を下げれるはずよ」
【黒騎士】「あちらも派閥争いがあるようでして、簡単に言えば第一王子派と弟大公派に分かれているようです。“不死の魔人”は第一王子の懐刀的な立場だとかで」
【鉄皇女】「ふ~ん、ワタクシにとってのアナタみたいなものかしら?」
【黒騎士】「まぁ、そうかもしれません」
【鉄皇女】「となると、少し計画を練り直す必要があるかもしれないわね」
【黒騎士】「それと気になる情報が一つ……」
【鉄皇女】「なにかしら?」
【黒騎士】「その“不死の魔人”の関係者が、我が国に入っているらしいのです」
【鉄皇女】「……信憑性は?」
【黒騎士】「調査を継続させていますが、この情報を持ってきたのは俺の手下の中で最近頭角を現してきた有望なヤツでして、信じてよいかと」
【鉄皇女】「…………」
【黒騎士】「いかがされました?」
【鉄皇女】「アナタが直接出向いて調べてもらえないかしら?」
【黒騎士】「貴女様の御心にままに」
【鉄皇女】「ふふふっ、面白くなりそうね」




