第55話『猫ミミちゃんが、孤児院に通っていた』
■草原と平穏の国:孤児院
【猫ミミ】「こんにちわー」
【老院長】「おぅ、猫ミミちゃん、いらっしゃい」
【猫ミミ】「これお土産です……(バスケット差出し」
【子供達】「猫ミミ姉ちゃんだー」「これ食べていいの?」「ねぇ、おままごとしよー」
【老院長】「こらこら。いっぺんに迫るじゃない、オヤツは決まった時間じゃ」
【猫ミミ】「あはははー、みんなイイ子にしてないとオヤツ抜きだからねー」
【子供達】「わかった!」「クッキーかな?」「オレ、あのフワフワしたケーキがいいな」
【猫ミミ】「と、ごめん、あたしはちょっと老院長さんとお話があるから、後でね!」
【老院長】「ふむ、それじゃあ院長室で聞こうかの」
【年長娘】「どうぞ、お茶です」
【猫ミミ】「ありがとっ♪ 年長娘はいいお嫁さんになるね!」
【年長娘】「ぁ、ありがとぅ……お姉ちゃん、老院長様、では失礼します(ぺこり」
【老院長】「そういう猫ミミちゃんも、いいお嫁さんになると思うがの」
【猫ミミ】「えー、そうかな? そうだと嬉しい……かな」
【老院長】「猫ミミちゃんには感謝しとるよ。猫ミミちゃんが来ると子供達が嬉しそうじゃ」
【猫ミミ】「ううん、あたしこそ老院長さんには感謝してるよ。本当なら、あたしが育った孤児院の院長さんに感謝するべきなんだけど……あそこにはもう戻れないから」
【老院長】「“情けは人の為ならず ”という言葉知ってるかの?」
【猫ミミ】「え? ……人に優しくしちゃいけないってこと?」
【老院長】「うんにゃ、どちらかと言えば逆じゃな。人に優しくすれば、優しくされた人は別の人に優しくすることができる。そうやっていくと、全員が優しくなれて、自分も優しくされる……と儂は解釈しとる」
【猫ミミ】「とっても素敵なことだね」
【老院長】「猫ミミちゃんが優しいから、周りのみんなも猫ミミちゃんに優しくなるということじゃな。それで猫ミミちゃんの話と言うのは、やはり昨日の人のことかの?」
【猫ミミ】「うん、どうなった?」
【老院長】「明け方に一度目を覚ましたが、すぐに気を失っての。じゃが、命の心配はなさそうじゃ」
【猫ミミ】「そっか、良かった」
孤児院には3歳から12歳くらいまで、20人くらいの子供がいる設定です。
主要なキャラクターは次の通り。
●老院長
【種族】:人間族 【年齢】:62歳 【性別】:男性
【一人称】:儂
【設定】:
・「草原と平穏の国」の王都の下町にある孤児院の院長。
・孤児院の運営自体は比較的マシな方だが、決して余裕があるわけではない。
●年長娘
【種族】:人間族 【年齢】:12歳 【性別】:女性
【一人称】:わたし
【設定】:
・現在、孤児院で世話になっている子供の中で一番の年長者。
・普段から老院長の手伝いをしたり、年下の子供達の面倒を見ているしっかりモノ。