第52話『男主人は、反省していた』
■草原と平穏の国:男主人邸
【長ミミ】「おはようございます、ご主人様」
【男主人】「おはよう」
【長ミミ】「最近はお疲れのようでしたので、本日の朝食は軽めのスープにいたしました」
【男主人】「昨晩は……」
【長ミミ】「昨晩は……」
【男主人】「え、あ、どうぞ、そっちから……」
【長ミミ】「いえ、ぜひともご主人様から……」
【男主人】「それじゃあ、僕からでいい?」
【長ミミ】「はい」
【男主人】「まず、昨晩は感情的になってごめん。猫ミミにもさっき言ったんだけど、僕は自分の血を残すのが怖いんだ。だから、女性の、そういう好意を素直に受け止めきれない」
【長ミミ】「申し訳ありません。そのことについては……」
【男主人】「事前に聞いてた、かな? さっき、少し冷静になって考えたら気付いてね」
【長ミミ】「…………」
【男主人】「長ミミが悪いわけじゃないんだ。全ては僕の問題。それに今は、仕事で少し厄介な問題を抱えてて、恋とか愛とか言っている余裕もなくてね」
【長ミミ】「美女妹様と白髪女様から、聞きました」
【男主人】「んっ? 妹と師匠から?」
【長ミミ】「ご主人様の事情などについて、美女妹様と白髪女様から色々と聞きました」
【男主人】「色々、か。変なことまで聞いてなければいいけどなぁ(苦笑」
【長ミミ】「白髪女様からは、“戦争”が起こるかもしれない、とも」
【男主人】「師匠……そんな軍事機密ギリギリのことをあっさりと……」
【長ミミ】「『あの馬鹿弟子は、自分が何時死んでもいいと考えてるねぇ。だからさ、アタシは願ってることがあるんだよ。いつか、アイツが生きたいと思う何かがあればねぇ』とも」
【男主人】「師匠が?」
【長ミミ】「恋人ができれば、生きていたいと思う原動力になるかなと……」
【男主人】「それで、僕と副官女をくっつけようとした?」
【長ミミ】「浅はかな考えでした」
【男主人】「その……、長ミミは僕のことが男として嫌いなのかな? 普通、自分が、ってならない?」
【長ミミ】「ご主人様、その話は……いずれゆっくりとお話します。お仕事に遅れますよ?」