第50話『男主人は、溜まっていた』
■草原と平穏の国:男主人邸
【男主人】「長ミミーーーー!!」
【長ミミ】「お帰りなさいませ、ご主人様。ご帰宅早々、溜まっていらっしゃるのですか?」
【男主人】「ああ、ストレスで堪忍袋が表面張力ぎりぎりの満杯って感じかな!?」
【長ミミ】「ストレス発散のために私を……」
【男主人】「…………」
【長ミミ】「…………」
【男主人】「で?」
【長ミミ】「いえ、結構、本気でお疲れていらっしゃるようなので少々自粛を」
【男主人】「いつもそうしてくれると助かるんだけど」
【長ミミ】「無理です。これは、気になる女の子にイジワルしちゃう男の子みたいなものなので」
【男主人】「それだと、僕が気になる女の子で、長ミミがイジワルしちゃう男の子? 普通逆じゃない!?」
【長ミミ】「ご主人様が私にイジワルされるのですか? えっと、その、心の準備が……もじもじ(棒読み」
【男主人】「自粛はっ!?」
【長ミミ】「短い任期でした」
【男主人】「あああっ、すごく久しぶりに弄ばれてるよね、僕っ!?」
【長ミミ】「それで、本日は何かあったのでしょうか?」
【男主人】「そうだ! 副官女に何を吹き込んだっ!? いや、大体分かってるけど!?」
【長ミミ】「私とご主人様との男と女の関係を仄めかす冗談を少々」
【男主人】「やっぱりぃ!? おかげで、仕事中はすっごく微妙な雰囲気で、今日なんてっ!」
【長ミミ】「誘惑に負けて、押し倒しそうにでもなりましたか? エッチなのはいけません」
【男主人】「むしろ逆だよ! なんであんなに積極的なのかな!」
【長ミミ】「……いい加減、ご主人様は副官女様の好意を認めてはいかがでしょう? ご主人様は、自分自身で考えるよりも、ずっと魅力的で、価値の有る男性であることを理解してください」
【男主人】「それは……」
【長ミミ】「ご主人様、メイドの長ミミとして言わせていただきます。副官女様は……お嫌いですか?」
【男主人】「…………悪い、夕食はいらない。このまま寝る」
【長ミミ】「かしこまりました」