第40話『長ミミさんと、約束を交わしていた』
■草原と平穏の国:男主人邸
【男主人】「…………」
【長ミミ】「…………」
【男主人】「ありがとう、と言うべきなのかな?」
【長ミミ】「どういたしまして、と答えるべきでしょうか?」
【男主人】「長ミミは、偶然うちに雇われた、ってわけじゃないよね」
【長ミミ】「ご主人様……セリフが疑問系ではなく、断定系になっております」
【男主人】「うん、確信しちゃったから」
【長ミミ】「確信しちゃわれましたか」
【男主人】「妹か君か、どっちかは分からないけど……長ミミは、僕を救いに来てくれたんだね?」
【長ミミ】「あら、そこで疑問系なのですか?」
【男主人】「外れてたら、ちょっと恥ずかしいし」
【長ミミ】「では、思う存分恥ずかしがってください、“外れ”です」
【男主人】「え、ほんと? うわ、何か僕って自意識過剰っ!?」
【長ミミ】「美女妹様の意図は別として、私はわざわざ外国までご主人様を救いに来たのではありません」
【男主人】「うわー、恥ずっ! なに訳知り顔で語っちゃったの、数瞬前の僕っ!!」
【長ミミ】「私は、ご主人様と交わした約束を果たしてもらいに来たのです」
【男主人】「……約束?」
【長ミミ】「はい、ご主人様は綺麗すっぱり根こそぎに忘れられているようですが」
【男主人】「ええっと、ごめん、僕と長ミミって、以前に会ったことがあるの?」
【長ミミ】「あるのです。もしかしたら忘れられてるかも、と予想していたので凹んだりはしていません」
【男主人】「うううっ……(悩み」
【長ミミ】「この設問に時間切れはありません、明日でも明後日でも一年後でも回答をお待ちしています」
【男主人】「……ヒ、ヒントは?」
【長ミミ】「もちろんノーヒントです」
【男主人】「すっごく気になるんだけど!!」
【長ミミ】「ご主人様、どうぞ頑張って思い出してくださいませ」