第34話『白髪女さんの、噂をしていた』
■草原と平穏の国:王宮(執務室)
【男主人】「よし、次の仕事は……?」
【副官女】「ええと、今ので来月に必要な分の書類までほとんど終わちゃいましたけど」
【男主人】「ぐっ、しょうがない。訓練場にでも行こうかな……」
【部下男】「男主人様。三日前からオレらを先に帰して、ずっと残業してますけど、何かあったんですか?」
【男主人】「今日は、おうちに帰りたくないの……」
【部下男】「うーわー、気になる女の子に言われたい文句ですが、それ。本当にどうしたんです?」
【男主人】「……師匠がうちに来てるんだけど、聞いてないのか?」
【部下男】「げっ、鬼婆がっ!? うわ、本気で申し訳ありません!」
【男主人】「知ってると思ってたんだけど、もしかして初耳か?」
【部下男】「そりゃあ、もちろんじゃないですか! もし、それを知ったら即日に男主人様のお屋敷へ挨拶に行きますよ! 逆になんで教えてくれなかったんですっ!?」
【男主人】「こっちだって、知ってるから何も言ってこないのかと思ってたんだよ」
【部下男】「うわー、じゃあ今日はこれから酒場で土産を買って、男主人様のお屋敷に……」
【白髪女】「ああ、酒を持ってくるなら明日の方が嬉しいねぇ」
【男主人】「!!??」
【部下男】「出たぁっ!! え、なんで王宮内に堂々と入っているんですか、お祖母様!?」
【白髪女】「ふふふ、権力を持った知り合いってのはいいもんだねぇ。紙っぺら一枚で入場自由さ」
【男主人】(……そんなんでいいのか王宮の警備っ!?)
【白髪女】「若い頃のアタシは、夜会の華と呼ばれるほどモテたんだから、当時のコネってやつかねぇ」
【部下男】「そ、それで、お祖母様はどんな御用で王宮までいらしたのでしょうか?」
【白髪女】「いやなに、久しぶりに王都の酒場で一杯といきたくてねぇ。可愛い孫と弟子をつき合わせようと思ったんだけど……ところで、鬼婆ってのは……」
【男主人】「(言葉を遮って)もちろん、つき合わせて頂きます、師匠!」
【部下男】「お祖母様! オレの行きつけの店ですが、お祖母様好みの葡萄酒を置いてまして!」
【白髪女】「そうかいそうかい。お嬢さん、悪いけどこの二人を先に帰らせてもらうけど、いいかい?」
【副官女】「は、はい……いってらっしゃいま……せ?」