第33話『白髪女さんが、冗談を言っていた』
■草原と平穏の国:男主人邸(裏庭)
【白髪女】「ふぅ、ごちそうさま。ああ、そうだ。猫ミミちゃん、お使いを頼んでいいかい?」
【猫ミミ】「おばーちゃん、何をすればいいの?」
【白髪女】「お小遣いをあげるから、猫ミミちゃんの好きなオヤツを3人分買ってきてくれないかい?」
【猫ミミ】「えっ? あたしの好きなオヤツでいいのっ!?」
【白髪女】「ああ、猫ミミちゃんのお奨めのヤツをお願いするよ。とりあえず、これだけ渡しておくからね」
【猫ミミ】「わかった! じゃあ、行ってくるね!(しゅたっ」
【長ミミ】「……白髪女さん、さきほどの言葉の意味を聞いてよろしいでしょうか?」
【白髪女】「簡単なお言葉遊びでねぇ。アンタの料理には、仕事以外の気持ちが混ざっていると言うことさ」
【長ミミ】「私は別にご主人様に惚れていたりはしませんが」
【白髪女】「気持ちと言うのは、何も男と女の愛情ばかりじゃないだろう?」
【長ミミ】「それは……そうですが」
【白髪女】「ああ、アンタには男主人に対して話せない、いや話すつもりがないことがあるみたいだしねぇ」
【長ミミ】「!? 白髪女さん、貴方は私の何を知っているのでしょうか?」
【白髪女】「例えば……アンタの父親だけど、なくなっていないみたいだねぇ」
【長ミミ】「!!」
【白髪女】「……とまぁ、軽い冗談さ」
【長ミミ】「じょう……だん?」
【白髪女】「ああ、軽く“カマを掛けてみた”だけで、本当は何も知らないのさ」
【長ミミ】「そんなことはありません、実際に私のお父さんが死んでいることを知っていました」
【白髪女】「アタシはさ、ただちょっと人として長く生きているだけだよ。誰だって人に話せないことの1つや2つ抱えてるものさ。それに父親の件だって“なくなっていない”と言ったんだ……“死んでいる”とも“生きている”とも受け取れるだろう?」
【長ミミ】「…………そうですね」
【白髪女】「しかし、今みたいな会話でもいくつか汲み取れてしまうモノもあるというわけでねぇ」
【長ミミ】「…………」
【白髪女】「そんなに顔を強張らせることはないさ、すくなくてもアタシはアンタのことが気に入ったからねぇ。何か困ったことがあれば、力を貸してもいい気になっているくらいにはさ」
【長ミミ】「ありがとうございます」
【白髪女】「何か話したいことがあれば話してみな。多分、花壇に話しかけるよりは有意義だからねぇ」