第29話『長ミミさんに、信じられていた』
■草原と平穏の国:男主人邸
【長ミミ】「猫ミミちゃんをベッドに寝かし付けてきました」
【男主人】「ご苦労様。僕が運んでも良かったのに」
【長ミミ】「猫ミミちゃんは身軽ですから……それにそもそも女性の部屋に本人の許可なく入ってはいけません」
【男主人】「あ、いや、猫ミミの場合、女性っていうか。まだ女の子というか」
【長ミミ】「女性は生まれた時から女性なのです。これは一般常識です」
【男主人】「はい」
【長ミミ】「ご理解していただけて良かったです。さて、ご主人様、お茶はいかがですか?」
【男主人】「あ、淹れてくれる?」
【長ミミ】「かしこまりました。少々お待ちください」
【長ミミ】「……お待たせしました(トポトポ」
【男主人】「(ズズッ)ん? お茶の葉を変えた?」
【長ミミ】「いえ、今日は少し濃い目に淹れただけです」
【男主人】「ふーん、ところでさ……」
【長ミミ】「なんでしょうか?」
【男主人】「猫ミミのことなんだけど、様子がおかしいことに何時から気づいてた?」
【長ミミ】「ほぼ最初から、でしょうか」
【男主人】「なんで僕に言ってくれなかったの?」
【長ミミ】「なんとなく、としか言えません」
【男主人】「なんとなく?」
【長ミミ】「ええ、以前も申し上げましたが、私はご主人様のことを信じているのです」
【男主人】「…………?」
【長ミミ】「ですから、いつか今日のような日が来ても、ご主人様なら受け止めてくれると」
【男主人】「でも、それはさ、結果論に過ぎないよ?」
【長ミミ】「差し出がましい意見かもしれませんが……私もご主人様に助けられたので」
【男主人】「ん? ああ、かみな……」
【長ミミ】「ご主人様、それ以上思い出されると、明日のスープとサラダが真っ赤に染まりますよ?(ニコリ」
【男主人】「あの罰料理は止めてー!!」