第23話『王子様に、欺かれていた』
■草原と平穏の国:王宮(王子執務室)
【王子様】「それで? 上手くいったの?」
【男主人】「8年前と基本は同じでしたから、魔術による“騙し”と“移し”で何とか」
【王子様】「《条件殺戮》だっけ?」
【男主人】「よく覚えていますね」
【王子様】「まぁ、あの時はボクも当事者だったし」
【男主人】「あの時から、貴方は貴方でした…………はぁ」
【王子様】「はっはっは、溜息を吐くと幸せが逃げちゃうよ」
【男主人】「誰のせいですか誰の!!」
【王子様】「そっと自分の心に手を当てて考えてみればいい…………」
【男主人】「何かカッコイイことを言っても誤魔化されませんから!」
【王子様】「で、やっぱり、今回はお前狙いか?」
【男主人】「そうですね。僕が猫ミミに淫らな行為に及んだら、さっくりあの世行きでした」
【王子様】「よくもまぁ搦め手が好きな連中だ」
【男主人】「もう危険性はないと思われるので、猫ミミは我が家で引き取ります」
【王子様】「ん? 背後組織は?」
【男主人】「潰しましたけど、あ、許可が必要でしたか?」
【王子様】「いや、それなら構わないさ」
【男主人】「雇用主に関しては、改めて何らかの対処します。どうも先日の悪領主の件とも絡んできそうです」
【王子様】「ふむ、協力が必要そうなら言ってくれ、頼んだよ」
【男主人】「……了解です」
【王子様】「何か浮かない顔があるが、まだ何かあるのか?」
【男主人】「いえ、なんで僕にこんな罠を仕掛けられたのかだけが不可解で」
【王子様】「そりゃ、異種族の娘相手に、夜な夜なハッスルしている変態だと思われてるからだろ」
【男主人】「僕ってそんな風に思われてるんですか?」
【王子様】「ボクが指示して情報操作したからな!」
【男主人】「何をいい笑顔で認めてるんですか! え、その話は初耳ですけど!?」
【王子様】「『敵を欺くには味方から』というじゃないか」
【男主人】「僕にとっては、貴方も敵だぁ!!」