第158話『草原と平穏な国へ、帰ってきていた』
■草原と平穏の国:王宮(王子執務室)
【男主人】「失礼します。ただいま帰りました」
【王子様】「ん、ご苦労様。よく帰ってきたな……」
【男主人】「ええ、お陰様で無事に帰ってきました。後方支援、ありがとうございました。僕が向こうを出る頃には、ずいぶんと落ち着いていました」
【王子様】「お礼なら、今まで予算を取っておいてくれた、叔父上に言ってくれ」
【男主人】「……まさか」
【王子様】「話をしたら、快く協力してくれたぞ。今回のような時のために残しておいた予算の全て出してくれた」
【男主人】「ははっ、それはずいぶんと胴回りがスッキリしたことでしょうね」
【王子様】「お礼なら妖艶女にも言ってやれ、今回はずいぶんと無茶なことをしたようだぞ」
【男主人】「そうですか……」
【王子様】「ところで、一つ聞きたいことがあるんだが」
【男主人】「何ですか?」
【王子様】「……この「鉱山の武勇の国」からの書状、読んでみろ」
【男主人】「…………」
【王子様】「今回の戦争における双方の不幸な行き違いウンヌンと、簡単に言えば『うちは新しい国になったから、良いお付き合いをしたいの。そのための大使として、男主人さんじゃなきゃ、イヤよ(はぁと』というところか?」
【男主人】「…………」
【王子様】「先手を打たれた感が拭えないな。まぁ、それよりもだ……どうやって鉄皇女と知り合いになった? なんで、お前が口説かれる!?」
【男主人】「口説かれてませんよ!! 『殿方は少しくらい不器用な方のほうが良いですね』って、扱いやすそうだからって、暗に書かれてるじゃないですか、ここに!」
【王子様】「ばっか、口説き文句にしか見えないぞ! なんて羨ましい!」
【男主人】「邪推のしすぎです! っていうか、美女妹に言いつけますよ!」
【王子様】「お前っ、それは卑怯だろ!! それに今は大事な時期なんだから、変に興奮させるなよ! 流産したらどうする!!」
【男主人】「はっ!? 流産!?!?」
【王子様】「おっと、驚かせようと思ってたのに……半年後には伯父さんだな、お義兄さん」
【男主人】「十分驚きましたよ…………やることはやってたんですね」
【王子様】「もちろん、愛すべき奥さんだからな」