第16話『長ミミさんから、試されていた』
■草原と平穏の国:男主人邸
【長ミミ】「ご主人様、私の目を見て正直に仰ってください」
【男主人】「うん、何かな?」
【長ミミ】「お嫌いなのですね?」
【男主人】「ええーと……」
【長ミミ】「目を逸らさない!」
【男主人】「はいっ!」
【長ミミ】「お嫌いなのですね?」
【男主人】「…………そんなことはないですよ(棒読み」
【長ミミ】「ご主人様、私は怒っているわけではありません。ただ、少し悲しいだけです」
【男主人】「うっ……」
【長ミミ】「もう一度言わせていただきます。私は少しだけ悲しいのです」
【男主人】「わ、分かってる」
【長ミミ】「では…………」
【男主人】「……(ごくり」
【長ミミ】「どうすれば、良いか分かっていますね?」
【男主人】「いや、その……」
【長ミミ】「ご主人様、男らしくないです」
【男主人】「ううっ」
【長ミミ】「これは……言わば、私に対するご主人様の信頼を図る試金石のような物」
【男主人】「な、なんか大げさじゃない?」
【長ミミ】「決して大げさなことではありません。ご主人様は、私が仕えるに値する傑物だと思っております」
【男主人】「け、傑物っ……」
【長ミミ】「そして、ご主人様と私の間には、様々な試練を経て築かれた絆があると信じております」
【男主人】「なんかもう、その試練の大半が君の自作自演だった気がするけど……」
【長ミミ】「誤魔化さないでください。さぁ、ご主人様、決断を!」
【男主人】「わ、わかった……食べる」
【長ミミ】「素晴らしい御決断です。例えご主人様がニンジンを嫌いであっても、私の料理を残すのは許しません、ええ」