第149話『彼らは、覚悟を決めていた』
■森林と調和の国:鉱山軍野営地
SE(ざわめく音):ザワザワ……
【見張兵】「…………」
【巡回兵】「…………」
【見張兵】「……ど、どうすればいい?」
【巡回兵】「どうすればいい、ってオレに聞かれてもなぁ」
【見張兵】「さっきは、本当の話かな?」
【巡回兵】「皇都でのクーデターか……」
【見張兵】「俺の村は、皇都から結構近いんだ」
【巡回兵】「今、司令部のほうでお偉いさんが会議をしてるだろ? オレら下っ端の考えることじゃないさ……」
【見張兵】「あんたは不安じゃないのかよ! もしかしたら、このまま……」
【巡回兵】「しっ、今は誰が聞いているか分かんないんだぞ」
【見張兵】「俺、夜が明けに紛れて、脱走しようかと思う」
【巡回兵】「…………」
【見張兵】「あんたも、一緒に逃げないか? その、あんたには感謝してるんだ」
【巡回兵】「…………」
【見張兵】「俺はさ、剣術なんて好きじゃないんだよ。訓練だって死にそうな思いでやってたんだ。訓練の時だけじゃなくて、野営地でもさ、色々と助けてもらった恩は忘れてない」
【巡回兵】「……止せよ。オレは、別に恩を売ったつたつもりはない」
【見張兵】「あんたから見れば、些細なことだったかもしれないけど、俺には十分、恩だと思えることだったんだよ。だからよ、一緒に逃げてくれないか?」
【巡回兵】「…………」
【見張兵】「…………」
【巡回兵】「……少し休むぞ、逃げるためには体力を温存しなきゃな」
【見張兵】「っ!?」
【巡回兵】「一つ言っておくがな、オレも剣術は好きじゃないんだ(ニヤッ」
【見張兵】「あは、あはははは……」
【巡回兵】「ふ、ふふふふ……ん?」
【見張兵】「どうした? ……!!?? なん、だ? あの、巨大な光る蛇みたいなのは…………」