第144話『2人の視線が、色々と語っていた』
■森林と調和の国:“棘”の集落(特務隊天幕)
【長ミミ】「おかえりなさいませ、ご主人様。どうぞ、こちらにお座りください」
【男主人】「あ、ああ……」
【騎士娘】「…………(じぃ」
【射手男】「…………(じぃ」
【長ミミ】「ただいま、お茶を淹れますね。お二方もお代わりはいかがでしょう?」
【騎士娘】「いや、私はまだ残っているので、大丈夫です」
【射手男】「じゃあ、おれは頂いていいっすか?」
【長ミミ】「おや、お湯の方が切れているようですね。ご主人様、申し訳ありません、少々お待ちください……(ぱたぱた」
【騎士娘】「(ずずっ)うん、お茶が美味しい……」
【射手男】「……えーと、おれが代表して質問ますけど、いいっすか?」
【男主人】「いや、待て、先に僕のほうから話をさせろ、というかするぞ」
【射手男】「横暴っす!」
【男主人】「そっちの質問は大体分かるから! こっちの話を先にさせろ!
とりあえず、会談の方は大分上手くいった。しばらくの間、猶予がもらえた感じだ。後で計画の詳細について話すが、この会談で計画の半分は上手くいったと考えていい」
【射手男】「それはすごいっす! 男主人様なら、きっと残り半分も上手くいくに決まってるっすね」
【騎士娘】「私も協力できることでしたら、なんでも言ってください!」
【男主人】「もちろん、2人にも色々と協力してもらう予定だからね」
【射手男】「で、あのエルフの美女とはどういう関係っすか!? メイド服を着せて、ご主人様と呼ばせるなんて、最近ちょっとどうかなぁ、と思っていた男主人様のこと見直したっす!」
【男主人】「……地味にダメ出しもらった!? というか、長ミミは2人に自己紹介とかしてないの?」
【射手男】「あ、名前は聞いたっす! 男主人様とは『ただならぬ関係ですが、詳しくはご主人様から聞いて欲しいです。私の口から……ぽっ』って言ってたっす!! 最後の『ぽっ』て何なんっすか!?」
【男主人】「口に出して、わざわざ『ぽっ』って言ってる辺りで色々と間違っていることに気づいてっ!!」
【騎士娘】「その……私には『男の甲斐性は大目に見ますので、悪いようにはいたしません』と言われたのですが、なんで“男の甲斐性”の話を、女性の私に言うんでしょうか?」
【男主人】「うん、君はそのまま騎士娘でいて欲しいな(疲」
【騎士娘】「えっ……ど、どういうことですっ!? わ、私は頑張りますから! 見捨てないで下さい!!(ひしっ」
【男主人】「い、いや、見捨てるとか、そういう話じゃなくてっ!?」
【長ミミ】「ただいま戻りまし…………戻ってくるのが少し早すぎたでしょうか?」
【男主人】「変な空気の読み方をするなーー!!」