第136話『己の無力に、涙を流していた』
■森林と調和の国:特務隊野営地
【射手男】「こんな所で何をしてるっすか?」
【騎士娘】「っ!! ……射手男、か?」
【射手男】「……なるほど、1人で泣いてたっすね」
【騎士娘】「…………ふんっ」
【射手男】「結局、答えは見つかったっすか?」
【騎士娘】「なんでそれをっ!?」
【射手男】「はっはっは、おれの聴覚をなめないで欲しいっす! 天幕一枚程度簡単に……いぎっ!?」
【騎士娘】「盗み聞きとはいい趣味ですね。殴りますよ」
【射手男】「……そういうのは殴る前に言って欲しいっす(自分で頭をなでなで」
【騎士娘】「ゲンコツ一回で許しますから、ありがたく思ってください」
【射手男】「へーい……」
【騎士娘】「…………」
【射手男】「…………」
【騎士娘】「で?」
【射手男】「ん? 何か用っすか?」
【騎士娘】「それは私の質問です! 何か私に用があって探してたんじゃないんですか?」
【射手男】「そこはそれ、同じ隊のメンバーとして心配してるっす」
【騎士娘】「ありがとうござ……」
【射手男】「ただでさえ3人しかいない部隊なのに2人になったら、仕事が増えたら面倒っす」
【騎士娘】「貴方は! 私をバカにしているんですか!!」
【射手男】「軽くしてるっす」
【騎士娘】「!!!!」
【射手男】「……何を怒っているっすか? 街で人を殺せば人殺しっす。けど、戦争で敵をたくさん殺せば英雄っす。……殺す覚悟も、殺される覚悟もなしに戦場に来てただなんて、問題外っすよ?」
【騎士娘】「…………」
【射手男】「例外は戦争に巻き込まれた一般民だけっす。おれからすれば、今の騎士娘は、ただの足手まといっす。軍に寄って集まってくる娼婦の方が、士気の高揚に役立つだけマシっす」
【騎士娘】「貴様…………(ギリッ」
【射手男】「甘えないで欲しいっすね。男主人様が優し過ぎるから、おれが代わりに言ってあげただけっすよ? っと、また殴られる前に退散させてもらうっす!」
【騎士娘】「くっ!! …………くぅ、なんで、なんでっ……」