第135話『皇都に、人の声が溢れていた』
■鉱山と武勇の国:郊外の丘
SE(群衆の叫び):ワァアアァァ……
【部下男】「此処までヒトの声が聞こえてくるなんて……」
【白髪女】「うん、どうやら始まったみたいだねぇ」
【部下男】「この様子なら、成功しそうですね」
【白髪女】「成功するだろうさ。お姫様も言っていたじゃないか、この国における最大の戦力を味方にしたって」
【部下男】「1万の兵士を味方に入れるより、20万の民衆を味方に……」
【白髪女】「もちろん、黒騎士殿が軍部の方にも色々細工をしているだろうけどねぇ。それに兵士なんて言っても、そのほとんどが民衆と変わりないさ」
【部下男】「国で一番力があるのは、団結した民衆……か」
【白髪女】「この国の民衆は7年前と今回なる戦争で色々と溜まっていただろうからねぇ。」
【部下男】「確かに、オレらが情報を集め回っていた時も、国への鬱憤は高まっていましたが……しかし、これはクーデターとは言えないのでは?」
【白髪女】「ああ、これはクーデターではなく、“革命”だねぇ。お姫様も上手く焚き付けたもんだ……」
【部下男】「お祖母様、かくめい、とは?」
【白髪女】「ああ、クーデターが短期決戦で国の元首に取って代わるための政変ならば、革命は国の形態そのものへの政変というところかねぇ」
【部下男】「それはつまり……」
【白髪女】「今回の件が終われば、民衆は自分達に力があることに気づくだろうさ。そうなれば、貴族ではない一般民からの政治への介入が始まるだろうね」
【部下男】「それじゃあ、鉄皇女様の計画は失敗じゃ……」
【白髪女】「いや、そこまでを考慮しての選択だろうねぇ。あのお姫様は、国を手に入れると言いながら、自分自身の権力に対して、それほど興味を示していなかった……そういう意味では、馬鹿弟子と似ているかもしれないねぇ」
【部下男】「男主人様と?」
【白髪女】「ああ、自分自身の地位や影響力について気にしてない辺りかねぇ。もっとも、お姫様の場合は、自分自身の影響力を知った上で気にしてないってところは、馬鹿弟子とは違うけどねぇ。
さて、無事に街を抜け出したんだ。アタシたちは、やるべきことがある場所へ向かうとしようかねぇ」
【部下男】「……はい」
【白髪女】「なに、黒服娘なら心配は要らないだろうさ? ああ見えて腕は悪くなさそうだからねぇ」
【部下男】「べ、別に黒服娘のことを心配してたわけじゃ!」
【白髪女】「この一件が終わったら、ゆっくりと考えればいいさ」
【部下男】「…………」
【白髪女】「オマエがどんな道を選ぼうが、アタシは応援してあげるからさ。せいぜい頑張りなよ」