第133話『スープを飲んで、温まっていた』
■森林と調和の国:特務隊野営地
【射手男】「とりあえず、辺りに人が残っている気配はなかったっす。近くに小さな集落があったけど、そこも無人になっていたっす。多分、戦禍を逃れるために避難したんだと思うっす」
【男主人】「ご苦労様……ん、そろそろいいかな? ほら」
【射手男】「いただきまっす!」
SE:(焚き火の音):パチパチ……
【射手男】「ふーふー……(ぱくぱく、ずずっ)……ふぅ、男主人様、これ、見た目は悪いけど、味は美味いっす! 魚のスープっすか?」
【男主人】「干し魚と根野菜のごった煮かな? とりあえず、褒めるならちゃんと褒めろ……(もぐもぐ」
【射手男】「美味いっす。ところで、騎士娘は、大丈夫っすか?」
【男主人】「難しいとこかな……身体の方は大丈夫だけど、ココロというか、気持ちがバッサリ折れちゃったかな」
【射手男】「それで、どうするつもりっすか?」
【男主人】「どうするつもりって?」
【射手男】「ココロが弱っている女性を優しくするのはジゴロの基本っす! おれは、しばらく離れてた方がいいっすか?」
【男主人】「こら待て、あれだけ説明したのは何を聞いてたのかな?」
【射手男】「建前はいらないっす!」
【男主人】「正真正銘の本音だーー!!」
【射手男】「……え? 冗談じゃなくてマジっすか? 男主人様の数々の武勇伝は……」
【男主人】「そんな事実はない!(きっぱり」
【射手男】「ひどいっ! おれら男兵士推定3万人の夢とロマンを返せっす!」
【男主人】「知るかっ!!」
【射手男】「屋敷に押しかけ美女メイドや獣っ娘メイドをはべらせ、職場ではお嬢様との宮廷ラブ、下町での年上のお姉さんからの誘惑の全てが、嘘の……嘘の情報だったんすか!!」
【男主人】「…………」
【射手男】「…………」
【男主人】「そ、そうだよ?」
【射手男】「……男主人様、なんであからさまに目を逸らしてるっすか?」