第14話『問題はないけど、書類が溜まっていた』
■草原と平穏の国:王宮(執務室)
【男主人】「久しぶり、二人とも、僕の留守中に問題なかった?」
【副官女】「はい、何ら問題はありません!」
【部下男】「オレの方も、急ぎ報告するようなことないです」
【副官女】「あ、ただ、目を通していただきたい書類が結構溜まっています(書類の山を示す」
【男主人】「あれ……全部……?」
【副官女】「これでもできるだけ減らそうとはしたんですが……その……」
【部下男】「文官の連中が堅物でして、『この書類には、師団長の署名が必要です。ない場合は受け取れません』と」
【男主人】「役人根性の石頭揃いだからなぁ……」
【副官女】「申し訳ありません……」
【男主人】「あ、いやいや、そんな硬くならないで。……そもそも、君が謝ることじゃないから」
【部下男】「そうそう。まったくカタイのは街壁とアレくらいで十分だってのに」
【副官女】「何か言いました?(キッ」
【部下男】「え~と~……あっ、その手に抱えてるブツは?」
【男主人】「これ? 頼まれてた土産物。向こうでご馳走になってね、美味しかったから土産にしてみた。はい」
【部下男】「お、西の所領の高級葡萄酒じゃないですか! ありがとうございます!」
【副官女】「え? あ、あの、私にもですか!?」
【男主人】「うん。片方だけってのも悪いしね。二人にはいつも頑張ってもらってるから、そのお礼」
【副官女】「ありがとうございます! 今日の記念に一生大事にします!」
【男主人】「その葡萄酒は、今が飲み頃だから、早めに飲んだ方が美味しいと思うけど……」
【副官女】「じゃあ、早めに大事にして飲みます!」
【部下男】(う~ん……指輪をもらったわけでもあるまいに……)
【男主人】「まぁ、喜んでくれて嬉しいよ」
【部下男】「またお願いしまーす」
【男主人】「はいはい。ところで、これから王子様のとこに今回の報告に行くけど?」
【部下男】「あ、じゃあ、オレも一緒に行きます。事前に頼まれていた件と合わせて報告したいんで」
【男主人】「そうだね。向こうで一緒に聞いた方が早いか、そうしよう」