第129話『黒服女が、勇気を振り絞っていた』
■鉱山と武勇の国:宿屋
【黒服女】「……いけ、女は度胸だ……涙が最終兵器だ……(ぶつぶつ」
【白髪女】「……?」
【黒服女】「……まずは、こうして……ああきたら、こうやって……(ぶつぶつ」
【白髪女】「もしもし?」
【黒服女】「ひゃっ!?」
【白髪女】「こんな扉の前の廊下で、何してるんだい?」
【黒服女】「いえ、決して部下男様を誘惑して、あんなことや、そんなこと、きゃー、わたしの口からは言えないわー! なんてことをしようなんて、全然計画してませんよ!」
【白髪女】「ふむふむ」
【黒服女】「嘘泣きで落としてダメなら、お酒で前後不覚にして既成事実を作ってやれなんて、もう頭の片隅にでも考えていませんから!!」
【白髪女】「アタシの協力が必要そうかねぇ?」
【黒服女】「是非に!!」
【白髪女】「おおっ、うちの馬鹿弟子に見習わせたい積極さだねぇ」
【黒服女】「はっ! すみません……少し暴走しました」
【白髪女】「問題はないさ。それで?」
【黒服女】「???」
【白髪女】「アタシたちは、明日の昼前に、この宿を発つ。つまり、制限時間はあと半日だ」
【黒服女】「はい」
【白髪女】「つまり、まだまだ諦めるには早いってことさ。やることやるのは半刻あれば十分」
【黒服女】「はいっ!」
【白髪女】「さて、その計画だけど……耳を貸しな……(ごしょごしょ」
【黒服女】「……ええっ……そ、それで……は、はい……」
【白髪女】「で、だから……とすれば、……だろ? で……」
【黒服女】「ふむふむ……」
【白髪女】「……というわけさ、分かったかい」
【黒服女】「が、頑張ります!」