第125話『妖艶女は、屋敷に潜入していた』
■草原と平穏の国:弟大公邸
【弟大公】『そうか……ああ、打てる手はできる限り……』
【妖艶女】(誰かと話している? けど、2人以上の人の気配はない……通信系魔術、か?)
【弟大公】『ふむ……人質には手を出すなよ。殺して意味がある者と、殺すと面倒になる者がいる……』
【妖艶女】(!?)
【弟大公】『ふはは、言うまでもなかったか……ああ、すまん、少しばかり気を張ってるようだ……』
【妖艶女】(人質か……。誰に対して、誰を押さえているのかは分からないが……面倒なことだね)
【給仕娘】「貴女、そこで何なさってるの?」
【妖艶女】「え、あ、はい……寝室のシーツを集めて来いと言われまして……こちらの区画は、どこに寝室があるのか迷っておりました」
【給仕娘】「そう……その場合の寝室は、客間か従業員室のものよ」
【妖艶女】「そ、そうなのですか?」
【給仕娘】「貴女見かけない顔ね。新人? この屋敷における規則の説明をきちんと聞いていなかったのかしら?」
【妖艶女】「いくつかは覚えているのですが……ええと……」
【給仕娘】「こっちの区画は、専用の者しか入れないの……そういう規則になっているのよ?」
【妖艶女】「ほ、本当ですか? き、規則を破ったら、やっぱりお給金とか減らされちゃうんでしょうか?」
【給仕娘】「…………」
【妖艶女】「あ、あの……?」
【給仕娘】「基本的に、この屋敷で働けるのは、誰かの紹介が必要なのよ? 貴女は、何処のお家の縁者なのかしら?」
【妖艶女】「そ、それは、ですね……」
【給仕娘】「何? そんなに言えない事なのかしら?」
【妖艶女】「……その、他言しないで頂けますか?」
【給仕娘】「約束はできないわね。いいから、とっとと話しなさい」
【妖艶女】「実は……ここの侍従長さんの元情婦でして……」
【給仕娘】「じょっ!? なんてこと……公私混同もあったものじゃないわね」
【妖艶女】「精一杯働きますから、できれば、その……」
【給仕娘】「…………後でまた色々と確認させてもらうわ。今は仕事に戻りなさい」
【妖艶女】「はい、失礼します!」
一応、新キャラなので紹介~。
●給仕娘
【種族】:人間族 【(外見)年齢】:20歳 【性別】:女性
【一人称】:ワタシ
【設定】:
・弟大公の屋敷に勤めている女性。