第121話『昔の悲しみを、思い出していた』
■草原と平穏の国:男主人邸
【猫ミミ】「……さん……ミミ……」
【長ミミ】「…………」
【猫ミミ】「……長ミミさん?」
【長ミミ】「あれ? どうしたんですか、猫ミミちゃん?」
【猫ミミ】「『どうしたんですか』は、あたしの質問だよっ! 長ミミさん、呼び掛けても気づかないし……何だかすごく辛そうな顔してたよ?」
【長ミミ】「それはごめんなさい。少し昔の……悲しいことを思い出していました」
【猫ミミ】「悲しいこと?」
【長ミミ】「大事な人と別れることになった時のことです」
【猫ミミ】「……あのね、長ミミさん。黒ミミさんと話し合って決めたんだ」
【長ミミ】「黒ミミさんと?」
【猫ミミ】「うん……長ミミさん、あたし、頼りになってる?」
【長ミミ】「もちろん、とっても頼りにしていますよ。今なら、きっと何処のお屋敷だって働くことができます」
【猫ミミ】「じゃあさ、あたしがこのお屋敷を守ってるから……長ミミさん、行ってきてよ」
【長ミミ】「……どこへ?」
【猫ミミ】「もちろん、ご主人さまのところ!」
【長ミミ】「私が行ってもご主人様の邪魔になるだけです……」
【猫ミミ】「そんなこと関係ないよ! だって、長ミミさん、ご主人さまのこと、心配なんでしょ? 一緒にいたいんでしょ? 夜中にキスしてたでしょ?」
【長ミミ】「み、見てたんですか?」
【猫ミミ】「うん、あたし、目がいいんだよ!(にぱっ」
【長ミミ】「…………でも」
【猫ミミ】「あたしは『おかえりなさい』を言うために、このお屋敷で2人を待ってるから」
【長ミミ】「それなら、私も……」
【猫ミミ】「長ミミさん、あたしは頼りにしてくれている、って言ったよね? ここで待っているのは、あたしだけで大丈夫だよ?」
長ミミさん、お願い……あたしの分も代わりに、ご主人さまと一緒にいてあげて!」
【長ミミ】「猫ミミちゃん……」
【猫ミミ】「あたしだって、いつまでも守られるだけの子供じゃないんだから」