第12話『釣った魚のエサについて、話していた』
■草原と平穏の国:男主人邸
【長ミミ】「婚約者候補になるかもしれない、です。言葉は正しく使って頂きたいと具申いたします」
【王子様】「まぁ、ボクとしてはどっちでもいいけど」
【長ミミ】「ええ、私としてはこっちでないと困りますので」
【王子様】「ほんと、つれないね」
【長ミミ】「釣った魚にエサを与えそうにない人には、魚も釣られたくはないだけでは?」
【王子様】「ほほう、男主人は魚のエサやりが上手なのかい?」
【長ミミ】「いえいえ、ご主人様は、与えたつもりもなく与えるタイプですので」
【王子様】「あっはっはっは、随分と好かれたものだ」
【長ミミ】「先に言っておきますが、この感情は好いた惚れたなどではございませんから」
【王子様】「それじゃあ何だと言うんだ?」
【長ミミ】「さぁ、私がその質問に答える必要はあります?」
【王子様】「くっくっく、微妙に男主人が言いそうな台詞だな、それ」
【長ミミ】「??? ご主人様が言うような、ですか?」
【王子様】「ああ、結構皮肉屋な所があるからな」
【長ミミ】「それは、本当にご主人様ですか?」
【王子様】「ん? どういうことだ?」
【長ミミ】「ですから、その、ご主人様が皮肉屋という部分です。少しご主人様には似合わない言葉でしたので」
【王子様】「ほ~」
【長ミミ】「……何か仰りたいのですか?」
【王子様】「いや、なかなかに相性が良いのかもしれない、と思ってな」
【長ミミ】「何の相性でしょう?」
【王子様】「キミと男主人さ」
【長ミミ】「私とご主人様がですか?」
【王子様】「うん、キミと男主人の相性は良いのさ、きっと。キミには、だいぶ心を許しているようだからね」
【長ミミ】「…………」
【王子様】「ふふん、初めてだな、そんな顔を見るのは。男主人にはやっぱ勿体無いか(微笑」