第110話『二人の影が、一つになっていた』
■草原と平穏の国:男主人邸(裏庭)
【男主人】「…………」
【長ミミ】「…………」
【男主人】「……そういえば、長ミミって、僕より年下なんだね」
【長ミミ】「はい、今年で16歳になりましたけど?」
【男主人】「いや……ずっと年上だと思っていたから、幼ミミちゃんだった頃に比べて……」
【長ミミ】「比べて?」
【男主人】「あー、あの頃は可愛いって感じだったけど、大人っぽく綺麗になったね」
【長ミミ】「ありがとうございます。ご主人様は、少しかっこ良くくなりましたよ?」
【男主人】「それは、気のせいじゃない? 僕は全然変わってないよ」
【長ミミ】「そうですか?」
【男主人】「さてと、それじゃあ……」
【長ミミ】「キス、しましょうか?」
【男主人】「……なんか、おかしいよね!?」
【長ミミ】「何がおかしいのでしょう?」
【男主人】「どうして今の流れで、僕が長ミミにキスをするのが確定になってるのかな?」
【長ミミ】「それは、ご主人様がヘタレだからです」
【男主人】「ぐふっ……」
【長ミミ】「ちなみに、頬や額で誤魔化すのもナシでお願いします」
【男主人】「ううっ……」
【長ミミ】「月の輝きが美しい晩です。キスをするには、十分なロマンティックさだと思いませんか?」
【男主人】「そういうのがロマンティックなのは、認めるけど……」
【長ミミ】「ご主人様、男は度胸です」
【男主人】「なんか色々な物を失いそうだけど……」
【長ミミ】「失って大切さに気づくモノもあるはずです、きっと」
【男主人】「あああーー!! もう、何なんだ。この状況は!?」
【長ミミ】「あの、ご主人様?」
【男主人】「長ミミ……追い詰めたのは君だからね?」
【長ミミ】「えっと?」
【男主人】「お願いは、キスのやり直し……だったよな?」
【長ミミ】「はい、そうですけ……んんんっ!!」
【男主人】「……くちゅ……」
【長ミミ】「……んんん……」
【男主人】「ちゅぅ…………」
【長ミミ】「んぐっ…………」
【男主人】「…………はぁっ!」
【長ミミ】「…………ふぁっ!(よろり」
【男主人】「……っと、こんな感じだったかな?(軽く抱寄せ」
【長ミミ】「はぁー……すぅーはぁー……」
【男主人】「大丈夫?」
【長ミミ】「申し訳ありません、少しふらつきます……」
【男主人】「軽い酸欠かな。キスの間は鼻で軽く呼吸をするんだよ」
【長ミミ】「……ご主人様」
【男主人】「なに?」
【長ミミ】「今のは……その……」
【男主人】「まだ長ミミには、大人のキスは早かったみたいだね?」
【長ミミ】「うううっ……そういうご主人様は、大人気ないです」
【男主人】「まだ物足りない?」
【長ミミ】「いえ、今晩の所は、これで我慢いたします」
【男主人】「そう? それじゃあ、中に戻ろうか?」
【長ミミ】「もう少しの間、ここにいますので、ご主人様は先に戻ってください」
【男主人】「ん、それじゃあ、おやすみ」
【長ミミ】「おやすみなさいませ」