第109話『あの夜のやり直しを、求められていた』
■草原と平穏の国:男主人邸(裏庭)
【男主人】「ありがとう、って言われるのも変な感じだね」
【長ミミ】「そうですか?」
【男主人】「ただの自信過剰なセリフだよね。好かれているって、自分で言ってるよ?」
【長ミミ】「問題はありません。事実ですから」
【男主人】「あうっ……」
【長ミミ】「ご主人様…………あまりヘタレ過ぎると、こちらから襲いますよ?」
【男主人】「えーと、冗談……」
【長ミミ】「だとお思いですか?」
【男主人】「……じゃないの?」
【長ミミ】「どうして、冗談だと思えるのですか? ご主人様は性格的に相手からの本気の押しに弱いでしょう? 相手の弱点を突くのは、戦略の基本です」
【男主人】「さっき、恋愛感情かどうかも分からないって!」
【長ミミ】「ええ、ですので……いっそもっと深い仲になれば、この気持ちが恋愛感情かどうか、分かるのではないかな、と?」
【男主人】「あは、ははは……」
【長ミミ】「うふ、ふふふ……」
【男主人】「本気?」
【長ミミ】「ほとんど冗談です」
【男主人】「良かった! あれ、なんで、こんなにホッとしてるんだろ、不思議だな!!」
【長ミミ】「その代わりと言ってなんですが、お願いがあります」
【男主人】「何、かな?」
【長ミミ】「キスのやり直しを求めます」
【男主人】「魚喜?」
【長ミミ】「無理やり聞き間違えた振りをしないでください……だって、ズルイじゃないですか」
【男主人】「何がズルイの!?」
【長ミミ】「キスしたの……私はボンヤリと記憶が曖昧なのに、ご主人様はしっかり覚えているんですよね?」
【男主人】「あ、あれは、その!!」
【長ミミ】「……ズルイです」
【男主人】「うっ…………」
【長ミミ】「……やり直しを求めます」