第102話『妖艶女が、可愛く見えていた』
■森林と調和の国:有名娼館
【男主人】「揚げ菓子……オヤツ感覚ってのが、ちょっと凹むな」
【妖艶女】「うっ……わ、悪気はないんだよ?」
【男主人】「まぁ、悪気はないとしてもね。もうちょっとマシな例えがなかったのか……?」
【妖艶女】「上手く説明できないんだから、しょうがないだろ」
【男主人】「ん? もしかして…………緊張してる?」
【妖艶女】「誰も照れ隠しなんかしてないぞ!」
【男主人】「…………えっ?」
【妖艶女】「あっ…………」
【男主人】「…………」
【妖艶女】「…………」
【男主人】「えーと……照れ隠しなんだ?」
【妖艶女】「バカっ! 改めて言うなっ!」
【男主人】「あ、ごめん……って、謝ることなのか?」
【妖艶女】「知るかっ!」
【男主人】(うーん、意外な一面が……あれ? さっきまでと違う感じにドキドキしてきたぞ)
【妖艶女】「とりあえずは、まぁ、そういうことだ」
【男主人】「そういうこと、か」
【妖艶女】「さっきも言ったように、男主人様との子供が欲しいだけなんだ」
【男主人】「……それは、僕の力のことを知って言ってるんだな?」
【妖艶女】「はっ、強い子供が生まれるなら、私も守ってもらおうかね」
【男主人】「その子が化け物と呼ばれてもか?」
【妖艶女】「そうしたら、人里離れた山奥で母子2人仲良く暮らすさ」
【男主人】「本気か?」
【妖艶女】「本気さ……おっと、今日の所はもう帰ってくれないか?」
【男主人】「しかし……」
【妖艶女】「依頼が終わって、報酬をもらう時に、一緒に返事を聞かせて欲しいんだ。今、返事を聞いちまうと、どっちであれ、依頼の仕事に影響しそうだからな」
【男主人】「……分かった。それじゃあ、後は頼んだ」
【妖艶女】「ああ、任せときなよ」
【男主人】「一応言っておくが、くれぐれも無茶はするなよ」
【妖艶女】「もちろん、分かっているさ」