第101話『妖艶女から、説明されていた』
■森林と調和の国:有名娼館
【妖艶女】「あ、先に言っておくけど。アタイは別に男主人と結婚したり、財産が欲しいと言っているわけじゃないだよ」
【男主人】「けど、僕の子供が欲しいと言うのは……」
【妖艶女】「だから、それは、言葉どおりの意味さ。男主人様はくれるもんくれたら、後はアタイが一人で上手くやるからさ。念のため、何回か手伝ってくれると嬉しいけどね」
【男主人】「どう言うつもりだ?」
【妖艶女】「んー、よく分からないって顔だね」
【男主人】「そりゃそうだろ? 「ください」と言われて「どうぞ」って渡せるもんじゃないよ」
【妖艶女】「渡せないもんかい?」
【男主人】「少なくとも僕は無理だね」
【妖艶女】「お仕事のお礼にさ、ちょちょいっとさ。減ってもすぐに増えるじゃないか」
【男主人】「な・に・が・だ・!」
【妖艶女】「いやん、アタイに何を言わせたいんだい?」
【男主人】「…………」
【妖艶女】「おや? そんな困ったような顔をさせたいわけじゃないんだけどねぇ(微笑」
【男主人】「困ったようなじゃくて、困ってるんだよ。話が唐突過ぎてついていけない(苦笑い」
【妖艶女】「だから、今すぐにじゃなくて、今回の依頼の事後報酬にって言ってるんじゃないか」
【男主人】「その報酬の要求自体が唐突だって言ってるんだ」
【妖艶女】「う~ん、もっと説明しないと分からないもんかねぇ?」
【男主人】「ああ、さっぱりだ」
【妖艶女】「女心が分からない男はもてないよ?」
【男主人】「今限りで、僕の一部だけが変なもて方をして困ってるけどな」
【妖艶女】「ははは、そんなヤケっぱちな皮肉を言うほど追い詰められてるんだねぇ」
【男主人】「追い詰めてる本人が……」
【妖艶女】「んー、実はさ。アタイも結構唐突な思いつきだからさ。上手く説明できないんだよねぇ」
【男主人】「はぁ……?」
【妖艶女】「一言で言えば、衝動的ってヤツかな? ほら、市場で美味しそうな揚げ菓子を見つけて、思わず買い食いしたくなるような。そして、今を逃すと後で絶対に後悔する、そんな気持ちなのさ」