第99話『妖艶女に、仕事を頼んでいた』
■森林と調和の国:有名娼館
【妖艶女】「あらやだ、本当に男主人様じゃないかい」
【男主人】「客に向かって開口一番それか?」
【妖艶女】「最近、色々と忙しいみたいじゃないか。こんな所で油を売ってて大丈夫なのかい?」
【男主人】「油を売りに来たんじゃなくて、買いに来たんだけどね」
【妖艶女】「やれやれ……それで?」
【男主人】「今すぐに“閨に入れる”娘は何人いる?」
【妖艶女】「そうだね。ベテランだけなら2人、若手を入れて5人て所かね」
【男主人】「んー……少し足りないか。今既に“閨に入っている”ベテランも呼び戻せないかな?」
【妖艶女】「……それなら、ベテランを後3人くらいは融通できなくはないけど。そんなに人手が必要なのかい? アンタの所には王子様づきの子だっているだろうに」
【男主人】「いざ、という時のために万全を期したいんだ」
【妖艶女】「そこまでの仕事と?」
【男主人】「ん、ボクの長年の苦労が実るかどうかの瀬戸際ってヤツかな」
【妖艶女】「それじゃあ、しょうがないね。うち一番のお得意様のお願いだ」
【男主人】「助かる」
【妖艶女】「なぁに、きちんとお金をいただくからね」
【男主人】「前金で250万イェン、後は必要経費と結果に応じて払うよ」
【妖艶女】「ずいぶん慣れたもんだねぇ。相場が分かってるじゃないか……それで問題はないよ」
【男主人】「お陰様で、色々と鍛えさせてもらったからね」
【妖艶女】「一番厄介そうな所は、アタイ自身が入ってやるよ」
【男主人】「え?」
【妖艶女】「何驚いてるんだ。アタイだってまだまだ腕は落ちちゃいないよ?」
【男主人】「いや、それなら、さっきの金額じゃ……」
【妖艶女】「問題はないさ。ベテラン5人と若手3人だろ? どうしてもっていうなら、成功報酬に色を付けてもらおうかね」
【男主人】「……了解、成功報酬は期待してね」
【妖艶女】「それじゃあ、詳しい話を聞かせてもらおうか」




