第98話『会談の条件を、提示していた』
■鉱山と武勇の国:黒騎士邸
【部下男】「忙しい所失礼します。男主人様と連絡が取れましたので、その報告に参りました」
【黒騎士】「いや、最初にお願いしたのはこっちだからな。先日の返事を頂けると思ってもいいのか?」
【部下男】「ええ、その件です」
【黒騎士】「で?」
【部下男】「魔術による会談をお受けする、というのがコチラの答えです」
【黒騎士】「それは良かった」
【部下男】「つきまして、いくつかの条件を出させていただきたい」
【黒騎士】「それで、その条件とは?」
【部下男】「1つ目、会談に対して、両方から2名まで立会人を出す。コチラは、オレともう1人」
【黒騎士】「次は?」
【部下男】「2つ目、通話に必要な魔術の行使は、コチラが執り行う」
【黒騎士】「ふむ」
【部下男】「3つ目、会談の内容については参加者のみの機密とする。ただし、その会談の結果次第では、その制限を緩めることも考慮する」
【黒騎士】「それで終わりかな?」
【部下男】「いえ、最後4つ目、先の3つの条件のいずれかが破られる場合、会談は失敗したものとし、会談はなかったものとして扱う……以上です」
【黒騎士】「今度は、俺が即答するわけにはいかないようだ。時間をもらいたい。ただし、明日には返答しよう」
【部下男】「もちろんです」
【黒騎士】「ところで、もう1人の立会人は“霞の賢者”殿だろうか?」
【部下男】「……まぁ、隠す必要は、ないでしょうね。ええ、オレの祖母が立ち会います。通話に必要な魔術の行使も祖母が行ないます。何か問題がありますか?」
【黒騎士】「いや、むしろ、賢者殿が立ち会ってもらった方が、問題が少なくなるだろう」
【部下男】「では、そういうことで……何か、今のうちに話しておくことはありますか?」
【黒騎士】「今すぐに話せることは、特にないな」
【部下男】「それっじゃあ、また明日に」
【黒騎士】「また明日…………」




