第10話『扉を開けたら、王子様がいた』
■草原と平穏の国:男主人邸
【長ミミ】(…………5日目、もうなのか、まだなのか)
【長ミミ】(早くても10日ということは、それ以上かかる可能性もある)
【長ミミ】(この家に来て、ここまで長く独りになるのは、初めて……ですね)
SE(ノッカーの音):コンコンコン
【長ミミ】(ご来客? ご主人様のいない時にタイミングの悪い)
SE(扉を開く音):ガチャ、ギィ
【長ミミ】「…………」
SE(扉を閉じる音):ギィ、バタン
SE(ノッカーの音):コンコンコンコンコンコン
SE(扉を開く音):ガチャ、ギィ
【王子様】「この家のメイドはどういう教育を受けているのかな? 普通、お客を無言で締め出す?」
【長ミミ】「夢か幻か妖精さんのイタズラなら良かったのに」
【王子様】「はっはっは、相変わらずだね」
【長ミミ】「ええ、王子様も相変わらずのようで、では、お帰りください」
【王子様】「ちょっ、待って!! なんで、そう人を締め出そうとするかな!」
【長ミミ】「誠に残念ながら、ご主人様は不在のため、怪しげな人間を屋敷に入れることはできません」
【王子様】「怪しくないでしょ!? ボクほど身元のはっきりしている人間はいない!!」
【長ミミ】「とりあえず、十割中十二割くらい怪しいです。もう、体から溢れんばかりに」
【王子様】「まさかの全否定!?」
【長ミミ】「まったく、無言で締め出すなというから、一言付けて締め出そうとしたのに、ワガママな」
【王子様】「え、何かボクが悪い流れになってない!?」
【長ミミ】「ご主人様が不在なことは、ご承知でしょう? 何をしにいらしたのですか?」
【王子様】「いやー、男主人がいなくてキミが寂しがっているんじゃないかなと」
【長ミミ】「寂しがっている女性ならば、王宮にもいらっしゃるのでは? あまり奥様を放置するものじゃないですよ?」
【王子様】「そんな健気な子じゃないけどねぇ。それにキミとボクとの関係じゃないか」
【長ミミ】「別に、私と王子様の間に特殊な関係があるとは記憶していませんが」
【王子様】「そこまでいくと、いっそ清々しいね!」
【長ミミ】「その点については、ご主人様にも高く評価されておりますので」
【王子様】「一応関係あると思うんだけど…………ねぇ、婚約者殿?」
新キャラクターの紹介です。
●王子様
【種族】:人間族 【年齢】:24歳 【性別】:男性
【一人称】:ボク
【設定】:
・「草原と平穏の国」の第一王子。王位継承権の第一位。
・女性大好き。
・既婚者らしい。でも貴族の一夫多妻は違法ではないようです。